気管・気管支損傷修復後の縫合不全に左右別換気を用いた1例

鈍的胸部外傷により生じた気管.気管支損傷に対して緊急気管・気管支形成術後に縫合不全を生じた修復部の圧軽減のため呼吸器を2台使用し,左右同調による別換気にて呼吸管理を行い救命した症例を経験したので報告する. 症例は32歳,男性.仕事中,前胸部に鈍的外傷を受け,当院に搬送された.胸部CTにて気管損傷と診断し,気管支鏡にて損傷範囲を確認後,左用のダブル・ルーメンチューブを挿管し,直ちに気管・気管支修復術を施行した.術後は動揺胸に対する内固定のため従量換気にて約2週間の人工呼吸器管理の方針とした.しかし第4病日に右胸腔ドレーンより軽度のエア・リークが認められたため縫合不全を疑い,右主気管支修復部の圧を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 4; pp. 899 - 902
Main Authors 藏井, 誠, 矢満田, 健, 牧内, 明子, 坂井, 威彦, 近藤, 竜一, 天野, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2001
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Summary:鈍的胸部外傷により生じた気管.気管支損傷に対して緊急気管・気管支形成術後に縫合不全を生じた修復部の圧軽減のため呼吸器を2台使用し,左右同調による別換気にて呼吸管理を行い救命した症例を経験したので報告する. 症例は32歳,男性.仕事中,前胸部に鈍的外傷を受け,当院に搬送された.胸部CTにて気管損傷と診断し,気管支鏡にて損傷範囲を確認後,左用のダブル・ルーメンチューブを挿管し,直ちに気管・気管支修復術を施行した.術後は動揺胸に対する内固定のため従量換気にて約2週間の人工呼吸器管理の方針とした.しかし第4病日に右胸腔ドレーンより軽度のエア・リークが認められたため縫合不全を疑い,右主気管支修復部の圧を軽減する目的で呼吸器を2台同調させ使用し,左は従量換気,右は従圧換気による呼吸管理を行った.同呼吸管理にて縫合不全も軽快し,第21病日退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.899