生体肝移植後,Ross手術とCABGを施行し,その後AVRと再CABGを施行した1例

症例は14歳,女性.Alagille症候群で,肝小葉間胆管減少症による肝不全と大動脈弁狭窄による心不全が進行し,他院で9歳時に生体肝移植を,11歳時にRoss手術とCABGを施行した.その後,大動脈基部の拡大が原因と思われる大動脈弁閉鎖不全の増悪と,冠動脈吻合部狭窄による前壁中隔の虚血が生じ,当施設にて大動脈弁置換術と再CABGを施行した.再手術時,術前後の肝機能は正常で,肝臓に対して特別な処置を施す必要はなく,18病日に退院となった.欧米において肝移植後患者の0.4~1.3%に開心術が施行されているにもかかわらず,初の生体肝移植以来14年,2,200を超える移植例をもつ本邦において,肝移植患...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 445 - 448
Main Authors 片岡, 剛, 石原, 和明, 川副, 浩平, 泉本, 浩史, 小泉, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2005
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.34.445

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Summary:症例は14歳,女性.Alagille症候群で,肝小葉間胆管減少症による肝不全と大動脈弁狭窄による心不全が進行し,他院で9歳時に生体肝移植を,11歳時にRoss手術とCABGを施行した.その後,大動脈基部の拡大が原因と思われる大動脈弁閉鎖不全の増悪と,冠動脈吻合部狭窄による前壁中隔の虚血が生じ,当施設にて大動脈弁置換術と再CABGを施行した.再手術時,術前後の肝機能は正常で,肝臓に対して特別な処置を施す必要はなく,18病日に退院となった.欧米において肝移植後患者の0.4~1.3%に開心術が施行されているにもかかわらず,初の生体肝移植以来14年,2,200を超える移植例をもつ本邦において,肝移植患者の開心術の報告がほとんどない.本症例の経験から,肝移植後患者であっても,通常と同じ適応で開心術が施行できると考えられ,周術期管理も肝機能に問題がなければ,通常と同様の管理でよいと思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.34.445