周術期のUFTと経口leucovorinの併用療法が奏効した進行結腸直腸癌の2例

leucovorin (LV)の5-FU効果増強作用を利用した5-FUとLV併用療法は,結腸直腸癌に対する有効な化学療法である.またUFTと経口でのLV併用療法は静注5-FU/LV療法に匹敵するという報告もある.われわれは高度の進行結腸直腸癌症例に対し周術期にUFT/LV内服療法を行い,画像および組織上有効と判定された2例を経験したので報告する.症例1は50歳の膀胱浸潤直腸癌症例で, UFT 300mg/m2/dayとLV 100mg/dayを1クール(28日)行い,画像上腫瘍の著明な縮小化を得た後,骨盤内臓全摘術で根治術を得た.化学療法の組織学的効果判定ではGrade Ibであった.症例2は...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 3; pp. 752 - 756
Main Authors 石崎, 直樹, 浜田, 信男, 門野, 潤, 中村, 登, 平, 明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.03.2000
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Summary:leucovorin (LV)の5-FU効果増強作用を利用した5-FUとLV併用療法は,結腸直腸癌に対する有効な化学療法である.またUFTと経口でのLV併用療法は静注5-FU/LV療法に匹敵するという報告もある.われわれは高度の進行結腸直腸癌症例に対し周術期にUFT/LV内服療法を行い,画像および組織上有効と判定された2例を経験したので報告する.症例1は50歳の膀胱浸潤直腸癌症例で, UFT 300mg/m2/dayとLV 100mg/dayを1クール(28日)行い,画像上腫瘍の著明な縮小化を得た後,骨盤内臓全摘術で根治術を得た.化学療法の組織学的効果判定ではGrade Ibであった.症例2は55歳の男性.肝転移を伴う結腸癌穿孔で結腸切除と腹膜炎の緊急手術後,同治療を2クール行った.化学療法後のCTで肝転移巣は縮小し, CEAも著明に低下した.症例2の軽度な下痢以外副作用は認めなかった.従ってUFT/LV内服療法は,進行結腸直腸癌に対する有効な周術期補助化学療法と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.752