肝外門脈シャントの認められた門脈圧20cmH2O未満の肝硬変症の臨床的特徴
門脈圧亢進症とは一般に門脈圧が20cmH2O以上とされている.しかし実際臨床の場では肝外門脈シャントは存在するが門脈圧20cmH2O未満の肝硬変症例を経験する.今回我々は門脈圧が20cmH2O未満の肝硬変症例10例の臨床的特徴について検討した.経皮経肝門脈造影(PTP)による評価では肝硬変症例110例中10例(9.1%)がそれに該当し,Child重症度はAl, B6, C3例であり,各病期に分散していた.コイル塞栓療法を施行した5例の門脈圧は14±4より23±2に上昇した.主要肝外門脈シャントの主要起始静脈として左胃静脈の関与例はなかった.内視鏡的にはF2以上の食道静脈瘤例は認めなかったが,F...
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Published in | 肝臓 Vol. 37; no. 6; pp. 322 - 326 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.06.1996
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Summary: | 門脈圧亢進症とは一般に門脈圧が20cmH2O以上とされている.しかし実際臨床の場では肝外門脈シャントは存在するが門脈圧20cmH2O未満の肝硬変症例を経験する.今回我々は門脈圧が20cmH2O未満の肝硬変症例10例の臨床的特徴について検討した.経皮経肝門脈造影(PTP)による評価では肝硬変症例110例中10例(9.1%)がそれに該当し,Child重症度はAl, B6, C3例であり,各病期に分散していた.コイル塞栓療法を施行した5例の門脈圧は14±4より23±2に上昇した.主要肝外門脈シャントの主要起始静脈として左胃静脈の関与例はなかった.内視鏡的にはF2以上の食道静脈瘤例は認めなかったが,F2以上の胃静脈瘤は3例にみられた.臨床症状は50%に反復性肝性脳症が認められたが,出血歴はなかった. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.37.322 |