全身性エリテマトーデスに合併した膜様閉塞型Budd-Chiari症候群に対するPercutaneous transluminal angioplastyの1奏効例

症例は30歳,男性,16年前,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,以後ステロイド剤の内服を続けている.この間lupus anticoagulant (LA)に起因する上腸間膜動脈血栓症をくり返し,さらに7年前,新たに肝部下大静脈の膜様閉塞が明らかとなった.今回percutaneous transluminal angioplasty (PTA)を目的に入院となった.身体所見上,胸腹壁に上行性の静脈拡張を認め,血液検査所見では,SLEの活動性は低いながらもLAが陽性,膠質反応および胆道系酵素の上昇とICG 15分値の遅延を認めた.Grüntzigカテーテルを用いてPTAを施行,各種画像診...

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Published in肝臓 Vol. 32; no. 8; pp. 798 - 804
Main Authors 松井, 修, 中本, 安成, 種井, 政信, 太田, 肇, 荒井, 和徳, 稲垣, 豊, 金子, 周一, 角谷, 真澄, 西村, 浩一, 鵜浦, 雅志, 松下, 栄紀, ト部, 健, 小林, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1991
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.32.798

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Summary:症例は30歳,男性,16年前,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,以後ステロイド剤の内服を続けている.この間lupus anticoagulant (LA)に起因する上腸間膜動脈血栓症をくり返し,さらに7年前,新たに肝部下大静脈の膜様閉塞が明らかとなった.今回percutaneous transluminal angioplasty (PTA)を目的に入院となった.身体所見上,胸腹壁に上行性の静脈拡張を認め,血液検査所見では,SLEの活動性は低いながらもLAが陽性,膠質反応および胆道系酵素の上昇とICG 15分値の遅延を認めた.Grüntzigカテーテルを用いてPTAを施行,各種画像診断により閉塞部の開通を確認した.術後,胸腹壁の静脈拡張は漸次消失し,ICG 15分値,201Tl経直腸シンチグラフィー上の心/肝取り込み比,ならびに食道静脈瘤所見の改善を得た.本例は,SLEにおける肝部下大静脈膜様閉塞の成因を考える上で興味深い1例であるとともに,血栓症の既往を有するLA陽性のSLE症例に対しても安全にPTAを施行し得た点で示唆に富む症例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.32.798