典型的な自己免疫性肝炎の病像を示し,インターフェロンが有効であったHCV-RNA陽性慢性活動性肝炎の1例

症例は55歳,女性.7年前より甲状腺腫と軽度の肝機能障害を指摘されていた.平成2年9月よりGPT 200台の上昇がみられ,入院.形質細胞の著明な浸潤を伴うCAH2Bの病理所見,高γグロブリン血症,および抗核抗体の高力価より,典型的な自己免疫性肝炎(AIH)と診断.HLA解析では,DR4陽性であった.ステロイド剤の投与により,GPTとγグロブリンの低下を認めたがステロイド剤の漸減中にGPTの再上昇を認めた.その時点でHCV-RNA陽性が判明し,IFN-α投与(6MU/日連日投与4週間,続いて,6MU/日隔日投与4週間)にてGPTの正常化,抗核抗体及びHCV-RNAの陰性化を認めた.本症例は,AI...

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Published in肝臓 Vol. 33; no. 7; pp. 548 - 551
Main Authors 前田, 隆, 大西, 三朗, 宮崎, 正子, 山本, 泰猛, 山崎, 久雄, 冨田, 昭, 岩村, 伸一, 曽我, 誠, 岩崎, 信二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1992
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.33.548

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Summary:症例は55歳,女性.7年前より甲状腺腫と軽度の肝機能障害を指摘されていた.平成2年9月よりGPT 200台の上昇がみられ,入院.形質細胞の著明な浸潤を伴うCAH2Bの病理所見,高γグロブリン血症,および抗核抗体の高力価より,典型的な自己免疫性肝炎(AIH)と診断.HLA解析では,DR4陽性であった.ステロイド剤の投与により,GPTとγグロブリンの低下を認めたがステロイド剤の漸減中にGPTの再上昇を認めた.その時点でHCV-RNA陽性が判明し,IFN-α投与(6MU/日連日投与4週間,続いて,6MU/日隔日投与4週間)にてGPTの正常化,抗核抗体及びHCV-RNAの陰性化を認めた.本症例は,AIHの典型的な臨床像を示したにもかかわらず,その病態には,HCVが関与し,IFNが奏効したものと考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.33.548