甲状腺未分化癌様の経過をたどった胃癌甲状腺転移の1例

未分化癌様の臨床経過を呈した胃癌甲状腺転移の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性,頸部腫脹を主訴に受診した.超音波検査, CT検査で甲状腺のび漫性腫大を認めた.穿刺吸引細胞診で大型の腫瘍細胞を認め,臨床症状から甲状腺未分化癌と診断した.画像上摘出可能と判断し手術を施行した.抗癌剤感受性試験の結果, 5-Fu, CDDPの併用が最も抑制率が高くlow dose FPのregimenで化学療法を開始した.病理組織検査では,腫瘤の主体が分化度が低い癌細胞の脈管侵襲によるものであった.胃内視鏡検査を施行したところ,胃の低分化腺癌と診断され,免疫組織染色の検索により胃癌からの甲状腺転移と診断さ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 2; pp. 324 - 327
Main Authors 中村, 眞一, 馬場, 祐康, 阿部, 正, 吉田, 徹, 菅井, 有, 下沖, 収
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.324

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Summary:未分化癌様の臨床経過を呈した胃癌甲状腺転移の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性,頸部腫脹を主訴に受診した.超音波検査, CT検査で甲状腺のび漫性腫大を認めた.穿刺吸引細胞診で大型の腫瘍細胞を認め,臨床症状から甲状腺未分化癌と診断した.画像上摘出可能と判断し手術を施行した.抗癌剤感受性試験の結果, 5-Fu, CDDPの併用が最も抑制率が高くlow dose FPのregimenで化学療法を開始した.病理組織検査では,腫瘤の主体が分化度が低い癌細胞の脈管侵襲によるものであった.胃内視鏡検査を施行したところ,胃の低分化腺癌と診断され,免疫組織染色の検索により胃癌からの甲状腺転移と診断された.肝・肺転移にDICを併発し術後57病日に死亡した.臨床上,甲状腺未分化癌を疑わせる症例や,癌の既往のある頸部腫瘤の症例は,他臓器からの甲状腺転移を念頭においた精査・治療が必要であると考え報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.324