Behçet病に合併した早期胃癌の1例

症例は44歳の男性で,昭和60年からBehçet病による葡萄膜炎にて加療中で,平成6年Behçet病に認定されていた.平成7年5月下旬から心窩部痛を認め,精査にて胃体上部後壁に潰瘍瘢痕を伴う広範囲な陥凹性病変を認め,同部の生検から低分化型腺癌が検出された. Behçet病に対するサイクロスポリンの投与を中止し, IVH管理の後, 7月21日手術を施行した.少量の漿液性腹水は認めるものの, H0PONOT1STAGEIaにて胃全摘兼脾臓合併切除術および2群リンパ節郭清術を施行した.組織学的に腫瘍はIII+IIc型と幽門上の微小なIIc型の2ヵ所の粘膜内癌であった. Behçet病が合併する消化管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 102 - 105
Main Authors 橘川, 弘勝, 宇野, 雄祐, 平野, 誠, 増田, 信二, 村上, 望, 野澤, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.102

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Summary:症例は44歳の男性で,昭和60年からBehçet病による葡萄膜炎にて加療中で,平成6年Behçet病に認定されていた.平成7年5月下旬から心窩部痛を認め,精査にて胃体上部後壁に潰瘍瘢痕を伴う広範囲な陥凹性病変を認め,同部の生検から低分化型腺癌が検出された. Behçet病に対するサイクロスポリンの投与を中止し, IVH管理の後, 7月21日手術を施行した.少量の漿液性腹水は認めるものの, H0PONOT1STAGEIaにて胃全摘兼脾臓合併切除術および2群リンパ節郭清術を施行した.組織学的に腫瘍はIII+IIc型と幽門上の微小なIIc型の2ヵ所の粘膜内癌であった. Behçet病が合併する消化管病変の多くは潰瘍の合併であり,胃癌との合併は本症例で3例と極めて稀な症例ではあるが, Behçet病と悪性疾患との合併も念頭において診療にあたることが肝要と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.102