急性期破裂脳動脈瘤患者の心電図異常

Day3 (発症日をday0として) 迄の急性期破裂脳動脈瘤患者121例の入院時心電図上の頻脈・徐脈・不整脈・QTc延長・ST変化・T波増高・T波逆転・U波・左室肥大の9項目と神経学的重症度・CT所見・動脈瘤破裂部位・脳血管写上の血管攣縮との相関について検討した.96%に何らかの所見があった.頻脈・不整脈・ST-T変化は重症例に多かったが, 徐脈・QTc延長・U波・左室肥大は重症度による差がなかった.CT上のくも膜下凝血の範囲に相関したのはU波のみで, 左右差は何れの所見でもみられなかった.破裂部位では徐脈が前交通動脈に多く, 不整脈は左側例に, T波逆転は右側例に多かった.脳血管攣縮では,...

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Published in脳卒中 Vol. 8; no. 2; pp. 137 - 143
Main Authors 小笠原, 英敬, 上家, 和子, 〓川, 哲二, 矢野, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1986
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.8.137

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Summary:Day3 (発症日をday0として) 迄の急性期破裂脳動脈瘤患者121例の入院時心電図上の頻脈・徐脈・不整脈・QTc延長・ST変化・T波増高・T波逆転・U波・左室肥大の9項目と神経学的重症度・CT所見・動脈瘤破裂部位・脳血管写上の血管攣縮との相関について検討した.96%に何らかの所見があった.頻脈・不整脈・ST-T変化は重症例に多かったが, 徐脈・QTc延長・U波・左室肥大は重症度による差がなかった.CT上のくも膜下凝血の範囲に相関したのはU波のみで, 左右差は何れの所見でもみられなかった.破裂部位では徐脈が前交通動脈に多く, 不整脈は左側例に, T波逆転は右側例に多かった.脳血管攣縮では, 左室肥大は攣縮高度例に多かった以外, 明らかな関係はなかった.くも膜下出血における心電図異常に関しては, 視床下部一カテコールアミンが重要と考えられているが, QTc延長・徐脈などでは別の機序を考える余地があると思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.8.137