ウロキナーゼ投与中に両側大脳半球塞栓症をきたした1例

右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ大量投与中, 両側大脳半球脳塞栓症をきたした1症例を報告した.症例は50歳, 男性.右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ24万単位/日を投与されていたが, 投与7日目に突然意識障害をきたした.意識は3-3-9度方式で200, 痙性四肢麻痺, 両側のBabinski反射陽性であった.発症30時間後の頭部CTにて, 両側内頚動脈領域ほぼ全域に低吸収領域がみられた.突発完成した意識障害で発症し, 基礎疾患として, 心房細動, 肥大型心筋症を有していたことから, 両側大脳半球脳塞栓症と考えられた.患者は第6病日に死亡し, 剖検にて, 右内頚動脈, 左中大脳動脈,...

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Published in脳卒中 Vol. 9; no. 2; pp. 156 - 161
Main Authors 松村, 潔, 八尾, 博史, 楠田, 憲治, 佐渡島, 省三, 藤島, 正敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1987
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Summary:右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ大量投与中, 両側大脳半球脳塞栓症をきたした1症例を報告した.症例は50歳, 男性.右網膜中心動脈閉塞症に対しウロキナーゼ24万単位/日を投与されていたが, 投与7日目に突然意識障害をきたした.意識は3-3-9度方式で200, 痙性四肢麻痺, 両側のBabinski反射陽性であった.発症30時間後の頭部CTにて, 両側内頚動脈領域ほぼ全域に低吸収領域がみられた.突発完成した意識障害で発症し, 基礎疾患として, 心房細動, 肥大型心筋症を有していたことから, 両側大脳半球脳塞栓症と考えられた.患者は第6病日に死亡し, 剖検にて, 右内頚動脈, 左中大脳動脈, および左心房壁在の血栓を認めた.線溶療法と脳塞栓症の関係に関する報告はほとんど認めないが, 本症例では, 線溶療法が両側大脳半球脳塞栓症の誘因になっている可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.9.156