多発性石灰化上皮腫の1例

症例は12歳女性. 6歳時に右上腕に初めて皮下腫瘤が認められて以来,これまでに6個の皮下腫瘤がみられ,すべて摘出術が行われ,石灰上皮腫と診断された.今回,背部に皮下腫瘤を認め,摘出術を行ったところ, 7個目の石灰化上皮腫であった. 石灰化上皮腫は若年女性の頭,頸部から上肢にかけてよく見られる良性皮下腫瘍である.ほとんどは単発性で,約10%に多発することが知られているが, 7個の多発例は稀である.多発例のなかには進行性筋ジストロフィーの合併が報告されている.また石灰化上皮腫は良性の皮下腫瘍として定義されているが,放置すると徐々に大きくなることもあり,また悪性例の報告もあるため,診断がつけば早期に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 558 - 560
Main Authors 小林, 正彦, 植村, 貞繁, 吉田, 篤史
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.02.2001
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Summary:症例は12歳女性. 6歳時に右上腕に初めて皮下腫瘤が認められて以来,これまでに6個の皮下腫瘤がみられ,すべて摘出術が行われ,石灰上皮腫と診断された.今回,背部に皮下腫瘤を認め,摘出術を行ったところ, 7個目の石灰化上皮腫であった. 石灰化上皮腫は若年女性の頭,頸部から上肢にかけてよく見られる良性皮下腫瘍である.ほとんどは単発性で,約10%に多発することが知られているが, 7個の多発例は稀である.多発例のなかには進行性筋ジストロフィーの合併が報告されている.また石灰化上皮腫は良性の皮下腫瘍として定義されているが,放置すると徐々に大きくなることもあり,また悪性例の報告もあるため,診断がつけば早期に外科的切除が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.558