肝再生過程における細胞性癌遺伝子発現動態の検討
肝再生過程における細胞性癌遺伝子の発現動態を明らかにするため,肝部分切除後の残存肝組織および初代培養肝細胞を用いて,細胞性癌遺伝子発現動態を検討した.ラットの残存肝組織では肝切除後もっとも早期にc-fosが発現し,3時間後にはc-mycが発現した.ラット初代培養肝細胞では,肝切除後血清およびEGF添加によりc-fosが発現したのに対し,c-mycはEGF等の増殖因子では発現せず,肝切除後1~3時間後の血清のみでしか発現しなかった.以上,c-fos, c-myc等の細胞性癌遺伝子がDNA合成に先立ち発現され,肝再生への最初のシグナル応答として重要な役割を果していることが明らかとなった....
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Published in | 肝臓 Vol. 29; no. 3; pp. 377 - 381 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1988
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Subjects | |
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Summary: | 肝再生過程における細胞性癌遺伝子の発現動態を明らかにするため,肝部分切除後の残存肝組織および初代培養肝細胞を用いて,細胞性癌遺伝子発現動態を検討した.ラットの残存肝組織では肝切除後もっとも早期にc-fosが発現し,3時間後にはc-mycが発現した.ラット初代培養肝細胞では,肝切除後血清およびEGF添加によりc-fosが発現したのに対し,c-mycはEGF等の増殖因子では発現せず,肝切除後1~3時間後の血清のみでしか発現しなかった.以上,c-fos, c-myc等の細胞性癌遺伝子がDNA合成に先立ち発現され,肝再生への最初のシグナル応答として重要な役割を果していることが明らかとなった. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.29.377 |