肝の凝固壊死を呈する肉芽性結節に関する臨床病理学的研究

最近,腹部超音波診断法(ECHO)で,単発あるいは多発の肝内小結節性病変を指摘され,肝生検施行すると凝固壊死を伴う肉芽組織が採取され,質的診断が困難な症例を著者らの施設では,しばしば経験するようになった.このような凝固壊死を呈する肉芽性結節14例について検討した.対象とした14例は臨床的に2例を除きウイルスマーカーは陰性,腫瘍マーカーは全例が陰性であり,ECHOでは14例中10例(71.4%)が結節内に2本の線状エコー(bead sign)を有し,病理学的には凝固壊死と肉芽組織で構成され,凝固壊死部をさらに詳しく検討すると,著明な好酸球浸潤や14例中7例(50%)にCharcot-Leyden...

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Published in肝臓 Vol. 35; no. 7; pp. 527 - 535
Main Authors 中島, 収, 渡辺, 次郎, 田口, 順, 奥平, 定之, 中島, 裕, 安永, 昌史, 伊波, 勇人, 神代, 正道, 田中, 正俊, 真島, 康雄, 谷川, 久一, 谷脇, 智, 才津, 秀樹, 中山, 和道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1994
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Summary:最近,腹部超音波診断法(ECHO)で,単発あるいは多発の肝内小結節性病変を指摘され,肝生検施行すると凝固壊死を伴う肉芽組織が採取され,質的診断が困難な症例を著者らの施設では,しばしば経験するようになった.このような凝固壊死を呈する肉芽性結節14例について検討した.対象とした14例は臨床的に2例を除きウイルスマーカーは陰性,腫瘍マーカーは全例が陰性であり,ECHOでは14例中10例(71.4%)が結節内に2本の線状エコー(bead sign)を有し,病理学的には凝固壊死と肉芽組織で構成され,凝固壊死部をさらに詳しく検討すると,著明な好酸球浸潤や14例中7例(50%)にCharcot-Leyden結晶が認められることから,寄生虫感染(特にイヌ・ネコ蛔虫症や肝蛭症)との密接な関連が示唆される病変である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.35.527