水疱を伴わない帯状疱疹（zoster sine herpete）による下位脳神経障害に対して抗ウイルス薬とステロイド併用療法が著効した1例

症例は62歳女性．髄膜炎に伴い同側の舌咽・迷走・副神経麻痺と対側の舌下神経麻痺が生じた．典型的な水疱疹は認めなかったが，脳脊髄液より水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus; VZV)-DNAが検出されVZVによる下位脳神経障害と診断．抗ウイルス薬とステロイドの併用療法により麻痺は速やかに改善した．本症例の下位脳神経障害は頸静脈孔を中心とした炎症と浮腫によるものと推察され，このためステロイドの抗炎症作用が著効を示したと考えられた．急性発症の脳神経麻痺では，水疱疹を伴わない場合でも帯状疱疹（zoster sine herpete）を鑑別に挙げて検索し，抗ウイルス薬とステ...

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Published in臨床神経学 Vol. 55; no. 12; pp. 932 - 935
Main Authors 谷口, 大祐, 中原, 登志樹, 中島, 翔, 中里, 朋子, 三笠, 道太, 古川, 芳明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2015
Subjects
水痘帯状疱疹ウイルス
治療
脳神経障害
舌下神経麻痺
髄膜炎
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Summary:症例は62歳女性．髄膜炎に伴い同側の舌咽・迷走・副神経麻痺と対側の舌下神経麻痺が生じた．典型的な水疱疹は認めなかったが，脳脊髄液より水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus; VZV)-DNAが検出されVZVによる下位脳神経障害と診断．抗ウイルス薬とステロイドの併用療法により麻痺は速やかに改善した．本症例の下位脳神経障害は頸静脈孔を中心とした炎症と浮腫によるものと推察され，このためステロイドの抗炎症作用が著効を示したと考えられた．急性発症の脳神経麻痺では，水疱疹を伴わない場合でも帯状疱疹（zoster sine herpete）を鑑別に挙げて検索し，抗ウイルス薬とステロイドの併用療法を考慮することが重要と思われる．
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000781