トキサフェン及びマイレックスによる日本近海鯨類の汚染とその蓄積特性

分析に供した全25検体の鯨類試料からトキサフェン及びマイレックスを検出し, わが国周辺の海洋汚染を初めて明らかにした。どちらの物質も, 日本からの放出の影響は認められない一方, 外洋性種は回遊海域の日本海やオホーツク海, 北部北西太平洋で暴露を受けていることが示唆された。とくにトキサフェンの暴露量は多いことが示唆され, 汚染経路として大気が重要な役割を果たし, 広域かつ複雑な影響を及ぼしていることが考えられた。この海域の汚染源として中国, 旧ソビエト連邦, 低緯度アジア, 米国の4地域の可能性が考えられたが, アジア域におけるこれら物質の使用実績に関する知見が不足しているため, 特定には至らな...

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Published in環境化学 Vol. 15; no. 2; pp. 429 - 443
Main Authors 今西, 克也, 川上, 学, 島田, あずさ, 木村, 義孝, 近石, 一弘, 村上, 雅志, 梶原, 夏子, 山田, 格, 田辺, 信介
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本環境化学会 2005
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Summary:分析に供した全25検体の鯨類試料からトキサフェン及びマイレックスを検出し, わが国周辺の海洋汚染を初めて明らかにした。どちらの物質も, 日本からの放出の影響は認められない一方, 外洋性種は回遊海域の日本海やオホーツク海, 北部北西太平洋で暴露を受けていることが示唆された。とくにトキサフェンの暴露量は多いことが示唆され, 汚染経路として大気が重要な役割を果たし, 広域かつ複雑な影響を及ぼしていることが考えられた。この海域の汚染源として中国, 旧ソビエト連邦, 低緯度アジア, 米国の4地域の可能性が考えられたが, アジア域におけるこれら物質の使用実績に関する知見が不足しているため, 特定には至らなかった。本研究の結果は, アジアにおけるトキサフェンおよびマイレックスの汚染が軽視できないことを示唆しており, 時空間的な環境動態の把握が今後の課題となった。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.15.429