n-ノニル-β-D-チオマルトシドの水中及び水/アルコール溶媒中でのミセル形成と気液界面吸着挙動に関する熱力学的考察

膜タンパク質可溶化剤として開発された, 非イオン界面活性剤であるn-nonyl-b-D-thiomaltoside (NTM) の溶液物性を総括・把握するため, 溶液の表面張力を種々の温度下で測定 (滴容法) し, 熱力学的に解析・考察した。また, 親水基の寄与を評価するため, decanoyl-N-methylglucamide (MEGA-10) を同一条件下で測定して比較に供した。すなわち, 両界面活性剤の臨界ミセル濃度 (cmc), 表面過剰量 (吸着量), 界面活性 (表面張力降下度) を決定し, 解析を試みた。また, これらの性質に及ぼすアルコール類 (methanol, etha...

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Published in日本油化学会誌 Vol. 46; no. 5; pp. 559 - 571,599
Main Authors 李, 相男, 大瀬戸, 文夫, 小田, 浩史, 永留, 重実, 佐々木, 泰司, 杉原, 剛介
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本油化学会 1997
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ISSN1341-8327
1884-1996
DOI10.5650/jos1996.46.559

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Summary:膜タンパク質可溶化剤として開発された, 非イオン界面活性剤であるn-nonyl-b-D-thiomaltoside (NTM) の溶液物性を総括・把握するため, 溶液の表面張力を種々の温度下で測定 (滴容法) し, 熱力学的に解析・考察した。また, 親水基の寄与を評価するため, decanoyl-N-methylglucamide (MEGA-10) を同一条件下で測定して比較に供した。すなわち, 両界面活性剤の臨界ミセル濃度 (cmc), 表面過剰量 (吸着量), 界面活性 (表面張力降下度) を決定し, 解析を試みた。また, これらの性質に及ぼすアルコール類 (methanol, ethanol及び1-bu-tanol) 添加効果を調べた。NTMはMEGA-10と同様に非イオン性ながら, 曇り点を持たず, cmc-温度曲線において28~30℃付近に極小を持ち, ヒドロキシル基が強い水和をしている事がわかった。静的光散乱法で会合数を求めてみると (25℃), 16.4と小さい値がでた。また, HLBについても検討したところ, 親水基中の硫黄-S-が, Deviesの尺度で1.5であることがわかった。
ISSN:1341-8327
1884-1996
DOI:10.5650/jos1996.46.559