高性能型酸化チタンを用いた水道水中有機物の光分解

高活性型光触媒の一つとして開発されたナノ構造型TiO2を用いて, 水道水中の有機物 (THM, TOX, TOC及びホルムアルデヒド) の光分解を検討した。THMの主成分であるクロロホルムや, 原水から浄水処理工程を経て水道水中に残留する巨大分子の化学物質群であるTOC成分は, 例えばオゾン処理のようなAOPによっても除去することは難しいことが知られている。本報では, ナノ構造型TiO2を用いた光分解実験で, 水道水中のクロロホルムとTOCが除去されることを示した。反応速度定数は, Mili-Q水を用いた同様の実験結果に比較して1/3程度であった。これは, 炭酸イオンがラジカルスカベンジャとし...

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Published in環境化学 Vol. 15; no. 4; pp. 847 - 853
Main Authors 花田, 喜文, 門上, 希和夫, 石川, 精一, 谷崎, 定二, 松岡, 靖史, 橋本, 昭雄, 篠原, 亮太
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本環境化学会 2005
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ISSN0917-2408
1882-5818
DOI10.5985/jec.15.847

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Summary:高活性型光触媒の一つとして開発されたナノ構造型TiO2を用いて, 水道水中の有機物 (THM, TOX, TOC及びホルムアルデヒド) の光分解を検討した。THMの主成分であるクロロホルムや, 原水から浄水処理工程を経て水道水中に残留する巨大分子の化学物質群であるTOC成分は, 例えばオゾン処理のようなAOPによっても除去することは難しいことが知られている。本報では, ナノ構造型TiO2を用いた光分解実験で, 水道水中のクロロホルムとTOCが除去されることを示した。反応速度定数は, Mili-Q水を用いた同様の実験結果に比較して1/3程度であった。これは, 炭酸イオンがラジカルスカベンジャとして働き反応を阻害したためである。浄水処理工程で生じるTOXについては, UV及びTiO2光分解の両者で容易に削減されることが分かった。水道水あるいは原水についてTiO2光分解処理を行うと, ホルムアルデヒド濃度が増加することが報告されているが, 我々の実験結果では, TiO2光分解反応によるホルムアルデヒドの増加は見られなかった。一方, UV照射のみの系ではホルムアルデヒド濃度は7ng/mlから30ng/mlまで増加した。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.15.847