側枝付大動脈一時的バイパスチューブの試作

大動脈遮断時の大動脈一時的バイパスに用いる側枝付チューブを試作した。側枝は3本、開口部は中央と両端にある。中央の側枝はバイパス設置時に管内に残存する空気除去用であり、両端の側枝は動脈内圧測定用である。成犬にバイパスチューブを挿入し得られた中枢側圧はその近くの大動脈への直接穿刺で得られた圧とほぼ同値であった。チューブ末梢側圧は大腿動脈と同様の圧が得られた。さらにチューブの抗血栓性を得るために被覆するポリエーテル型セグメント化ポリウレタン (PEUU) の効果について検討した。in vitro試験におけるClotting Time Indexは4.61±0.22であり、Biomer (3.20±0...

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Published in人工臓器 Vol. 15; no. 1; pp. 201 - 204
Main Authors 田中, 勧, 吉津, 博, 後藤, 正幸, 加瀬, 勝一, 志水, 正史, 安倍, 次郎, 草間, 良昌, 藤田, 高行, 奥田, 恵理哉, 尾形, 利郎, 西島, 護, 増田, 春彦, 斧原, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1986
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Summary:大動脈遮断時の大動脈一時的バイパスに用いる側枝付チューブを試作した。側枝は3本、開口部は中央と両端にある。中央の側枝はバイパス設置時に管内に残存する空気除去用であり、両端の側枝は動脈内圧測定用である。成犬にバイパスチューブを挿入し得られた中枢側圧はその近くの大動脈への直接穿刺で得られた圧とほぼ同値であった。チューブ末梢側圧は大腿動脈と同様の圧が得られた。さらにチューブの抗血栓性を得るために被覆するポリエーテル型セグメント化ポリウレタン (PEUU) の効果について検討した。in vitro試験におけるClotting Time Indexは4.61±0.22であり、Biomer (3.20±0.21) より良好な抗凝固性が認められた。成犬における動脈-静脈シャント実験ではPEUU被覆チューブの走査電顕上の血小板の内面付着は、塩化ビニールチューブに比べはるかに少なかった。PEUU被覆の側枝付バイパスチューブの有用性が示唆された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.15.201