腹膜炎併発により手術を要した腸管出血性大腸菌O-157: H7感染性腸炎の1例
腹膜炎併発により緊急手術を要した腸管出血性大腸菌O-157: H7感染性腸炎の1例を経験した。症例は61歳, 女性。2001年9月4日, 下痢, 腹痛, 血便にて緊急入院となった。腹部CTでは上行結腸に限局した全周性浮腫性変化を認めた。保存的治療で症状の改善を認めず, 3日後に腹膜刺激症状を呈し, 同日のCT検査にて, 胸・腹水出現および腸管病変の連続性進行を認めたため, 結腸右半切除術を施行した。術後経過は良好であった。入院時および手術時の便培養では, 菌を検出し得なかったが, 血清抗O-157・LPS (リポポリサッカライド) 抗体価は, 入院3日目から陽性を示した。O-157感染性腸炎に...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 22; no. 6; pp. 979 - 983 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.09.2002
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem1993.22.979 |
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Summary: | 腹膜炎併発により緊急手術を要した腸管出血性大腸菌O-157: H7感染性腸炎の1例を経験した。症例は61歳, 女性。2001年9月4日, 下痢, 腹痛, 血便にて緊急入院となった。腹部CTでは上行結腸に限局した全周性浮腫性変化を認めた。保存的治療で症状の改善を認めず, 3日後に腹膜刺激症状を呈し, 同日のCT検査にて, 胸・腹水出現および腸管病変の連続性進行を認めたため, 結腸右半切除術を施行した。術後経過は良好であった。入院時および手術時の便培養では, 菌を検出し得なかったが, 血清抗O-157・LPS (リポポリサッカライド) 抗体価は, 入院3日目から陽性を示した。O-157感染性腸炎には, 明らかな抗生剤投与がなされないにも関わらず, 便培養にて菌体が証明されないこと, 診断に際して血清抗O-157・LPS抗体価測定は有用であること, また, 腸管症状単独の急速な進行を呈する症例が存在する可能性を念頭におく必要があると考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem1993.22.979 |