上腸間膜動脈解離の1例

上腸間膜動脈解離の1例を経験した。症例は55歳男性で, 上腹部痛にて搬送された。腹部超音波検査にて上腸間膜動脈内の血流に偏りを認めた。腹部造影CT検査にて腎静脈分岐部レベル, 起始部より約2cmの上腸間膜動脈内の解離を約4cmにわたり認め, それより末梢は造影されなかった。小開腹による直視下腸管観察の方針とした。一部回腸に蠕動運動低下を認めた。虫垂切除術にて血流を確認すると, 低下を認めたが血流は保たれていた。経時的に腸間膜虚血の可能性があるため閉腹せず開腹にてICU入室とし, 腸管観察下に翌日再度確認とした。18時間後の再確認で腸間膜虚血は認めず閉腹とした。術後にmultidetector-...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 543 - 547
Main Authors 鈴木, 泰, 藤野, 靖久, 井上, 義博, 遠藤, 重厚, 八重樫, 泰法, 佐藤, 信博, 斎藤, 和好, 小野寺, 誠, 小鹿, 雅博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2005
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.25.543

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Summary:上腸間膜動脈解離の1例を経験した。症例は55歳男性で, 上腹部痛にて搬送された。腹部超音波検査にて上腸間膜動脈内の血流に偏りを認めた。腹部造影CT検査にて腎静脈分岐部レベル, 起始部より約2cmの上腸間膜動脈内の解離を約4cmにわたり認め, それより末梢は造影されなかった。小開腹による直視下腸管観察の方針とした。一部回腸に蠕動運動低下を認めた。虫垂切除術にて血流を確認すると, 低下を認めたが血流は保たれていた。経時的に腸間膜虚血の可能性があるため閉腹せず開腹にてICU入室とし, 腸管観察下に翌日再度確認とした。18時間後の再確認で腸間膜虚血は認めず閉腹とした。術後にmultidetector-CT, 血管撮影検査施行。上腸間膜動脈 (SMA) より空腸が2枝分枝した後より完全閉塞していた。空腸枝の発達と副側路によりSMA支配領域に血流を認めた。上腸間膜動脈解離の報告は, 本症例を含め21例とまれである。過去の報告例の診断および治療を含め, 若干の文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.543