New valved conduit作製のための仔牛頚静脈の利用

仔牛頸静脈を親水性架橋剤であるエポキシ化合物で化学処理することにより、それに内在する静脈弁をそのまま利用して、生体弁付きRV-PA conduitを作成した。動物実験として、作成したconduitを6頭の雑種成犬の右室一肺動脈間に移植し主肺動脈を結紮した。術後4時間および20日目に肺動脈一右室引き抜き圧測定、右室造影を行った結果、conduitのvalveは低圧下でも正常に作動していた。右室一肺動脈圧較差は4時間で0mmHg, 20日目で3mmHgであった。摘出標本では弁葉と布製人工血管吻合部に少量の血栓付着を認めたが巨大な血栓は認めなかった。生体弁付き仔牛頸静脈は静脈組織特有の軟らかさ、しな...

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Published in人工臓器 Vol. 22; no. 2; pp. 503 - 506
Main Authors 小菅, 宇之, 野一色, 泰晴, 山本, 賢二, 市川, 由紀夫, 松本, 昭彦, 石井, 正徳, 近藤, 治郎, 梶原, 博一, 井元, 清隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1993
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.22.503

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Summary:仔牛頸静脈を親水性架橋剤であるエポキシ化合物で化学処理することにより、それに内在する静脈弁をそのまま利用して、生体弁付きRV-PA conduitを作成した。動物実験として、作成したconduitを6頭の雑種成犬の右室一肺動脈間に移植し主肺動脈を結紮した。術後4時間および20日目に肺動脈一右室引き抜き圧測定、右室造影を行った結果、conduitのvalveは低圧下でも正常に作動していた。右室一肺動脈圧較差は4時間で0mmHg, 20日目で3mmHgであった。摘出標本では弁葉と布製人工血管吻合部に少量の血栓付着を認めたが巨大な血栓は認めなかった。生体弁付き仔牛頸静脈は静脈組織特有の軟らかさ、しなやかさといった特性をもち、また、生体弁および弁前後の特殊構造という血行動態的に理想的な形態をもっている。エポキシ処理により、この特性を温存させたRV-PA valved conduitは以上の結果で明らかなように現在臨床で使用されているものにない特性を持っていると思われる。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.22.503