両側内胸動脈グラフトを用いた冠状動脈バイパス手術

近年, 両側内胸動脈 (ITA) を用いた冠状動脈バイパス手術 (CABG) の良好な遠隔成績が報告されている. 当施設では, 両側ITAの使用を1993年より開始し, 1995年より積極的に行うようになった. そこで95年1月より97年12月までの全CABG 219例のうち両側ITAを使用した119例の手術成績を検討した. 右ITAは, 左前下行枝 (77), 対角枝 (8), 回旋枝 (14), 右冠動脈近位部 (12), 遊離として右冠動脈遠位部 (8) に用いた. 病院死亡は5例 (4.2%) であった. 術後合併症としては, 胸骨感染2例, LOS 2例で, 出血による再開胸はなかっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 94 - 100
Main Authors 亀田, 正, 熊本, 隆之, 廣谷, 隆, 城田, 庄吾, 山野, 元嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.28.94

Cover

More Information
Summary:近年, 両側内胸動脈 (ITA) を用いた冠状動脈バイパス手術 (CABG) の良好な遠隔成績が報告されている. 当施設では, 両側ITAの使用を1993年より開始し, 1995年より積極的に行うようになった. そこで95年1月より97年12月までの全CABG 219例のうち両側ITAを使用した119例の手術成績を検討した. 右ITAは, 左前下行枝 (77), 対角枝 (8), 回旋枝 (14), 右冠動脈近位部 (12), 遊離として右冠動脈遠位部 (8) に用いた. 病院死亡は5例 (4.2%) であった. 術後合併症としては, 胸骨感染2例, LOS 2例で, 出血による再開胸はなかった. 同時期の一側ITAを使用したCABGや静脈のみのCABGと比較して, 術後創感染率, 無輸血手術率に差は認められなかった. また, high risk 症例においても, 一側ITAを用いたCABGと比較して手術リスクは同様であった. 両側ITAを用いたCABGの手術成績は満足できるものと考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.28.94