再発時にHLA3座不一致の母親からCD34陽性末梢血幹細胞移植を施行した乳児白血病
寛解早期の強化療法中に再発した11q23異常を伴う急性リンパ性白血病の8カ月乳児にHLA3座不一致の母親からCD34陽性末梢血幹細胞移植を施行した.Granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF;10μg/kg/日, 5日間) を使用して末梢血幹細胞 (PBSC) を動員し, アフェレーシスにて単核球を採取した.単核球から免疫磁気ビーズ法細胞分離システム (Isolex300®) にてCD34陽性細胞を分離した.前処置としてbusulfan 600mg/m2, etoposide 60mg/kg, melphalanl 95mg/m2および全身リンパ節...
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Published in | 日本小児血液学会雑誌 Vol. 13; no. 3; pp. 188 - 194 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
30.06.1999
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ISSN | 0913-8706 1884-4723 |
DOI | 10.11412/jjph1987.13.188 |
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Summary: | 寛解早期の強化療法中に再発した11q23異常を伴う急性リンパ性白血病の8カ月乳児にHLA3座不一致の母親からCD34陽性末梢血幹細胞移植を施行した.Granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF;10μg/kg/日, 5日間) を使用して末梢血幹細胞 (PBSC) を動員し, アフェレーシスにて単核球を採取した.単核球から免疫磁気ビーズ法細胞分離システム (Isolex300®) にてCD34陽性細胞を分離した.前処置としてbusulfan 600mg/m2, etoposide 60mg/kg, melphalanl 95mg/m2および全身リンパ節照射 (計7.5Gy, 6分割) を使用した.輸注したCD34+陽性細胞, colony forming unit-granulocyte/macrophage (CFU-GM) およびCD3+陽性細胞数はそれぞれ3.4×106/kg, 2.6×106/kgおよび2.8×104/kgであった.移植後18日で顆粒球数は500/μl以上となり, 重篤な急性移植片対宿主反応病 (GVHD) も認められなかったが, 移植後22日に呼吸障害にて死亡した.剖検所見は肺を中心とした全身性のアスペルギルス症を認め死因と考えられた.骨髄では三系統の造血がみられ, 明らかな白血病細胞はみられなかった.また, 病理組織学的にも急性GVHDの所見は認められなかった.本法は治療抵抗性の白血病でHLA一致ドナーのいない患者について考慮されるべき治療法のひとつと思われる.致死的感染症の克服が本治療法の確立に不可欠と考えられた. |
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ISSN: | 0913-8706 1884-4723 |
DOI: | 10.11412/jjph1987.13.188 |