ポリウレタン多孔質体によるラット肝実質細胞の三次元化培養

ポリ-N-パラービニルベンジル-D-ラクトンアミド(PVLA)をコートしたポリウレタン多孔質体(PVLA-RPU)を用いてラット初代肝細胞の三次元化長期間培養を試みた。ラット肝細胞を、PVLA-RPU中で3日間培養した後、電顕観察した結果、導入肝細胞は多孔質ウレタン内部でmulticellular sph-eroidを形成しPVLA-RPU表面に生着していた。さらに、肝細胞間には毛細胆管様構造が確認された。また種々の肝特異的機能も良好に発現しており、特にアルブミン合成・分泌能はin vitroにおける培養で40日間以上も維持されていた。PVLA-RPU内部に生着させた肝細胞を、腹腔内に移植する...

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Published in人工臓器 Vol. 20; no. 1; pp. 145 - 149
Main Authors 佐藤, 泰生, 落谷, 孝広, 松原, 謙一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1991
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Summary:ポリ-N-パラービニルベンジル-D-ラクトンアミド(PVLA)をコートしたポリウレタン多孔質体(PVLA-RPU)を用いてラット初代肝細胞の三次元化長期間培養を試みた。ラット肝細胞を、PVLA-RPU中で3日間培養した後、電顕観察した結果、導入肝細胞は多孔質ウレタン内部でmulticellular sph-eroidを形成しPVLA-RPU表面に生着していた。さらに、肝細胞間には毛細胆管様構造が確認された。また種々の肝特異的機能も良好に発現しており、特にアルブミン合成・分泌能はin vitroにおける培養で40日間以上も維持されていた。PVLA-RPU内部に生着させた肝細胞を、腹腔内に移植することにより、四塩化炭素により劇症肝炎を誘発したラットの延命を図ることができた。腹腔中に移植した肝細胞は、2ヶ月間その機能を維持していた。以上の結果より、PVLA-RPUを用いた肝細胞の三次元培養システムは、人工肝臓のモジュールとして有用であることが示唆された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.20.145