ウエスタンブロット法による流血中カンジダ抗体の解析
Candida抗体は健常人からも検出されるため診断的有用性は少ないとされているが,immunocompromised hostに高頻度に検出されるものである.そこで診断的有用性を見いだすことを目的に,Candida抗体の質の差をWestern blot法(WB法)で検索・評価した. 検索血清はカンジダ症と診断された10剖検例および17臨床例から得た.対象群として健康男子8名から血清を得た.症例を重症型,軽症型に分類し,臨床分離株であるCandida albicansの細胞質内抗原に対する抗体分画をWB法で検索した.重症型の11例では24-151kDa域に17本,軽症型の16例では26-88kD...
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Published in | 日本医真菌学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 269 - 280 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医真菌学会
1994
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Subjects | |
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ISSN | 0916-4804 1882-0476 |
DOI | 10.3314/jjmm.35.269 |
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Summary: | Candida抗体は健常人からも検出されるため診断的有用性は少ないとされているが,immunocompromised hostに高頻度に検出されるものである.そこで診断的有用性を見いだすことを目的に,Candida抗体の質の差をWestern blot法(WB法)で検索・評価した. 検索血清はカンジダ症と診断された10剖検例および17臨床例から得た.対象群として健康男子8名から血清を得た.症例を重症型,軽症型に分類し,臨床分離株であるCandida albicansの細胞質内抗原に対する抗体分画をWB法で検索した.重症型の11例では24-151kDa域に17本,軽症型の16例では26-88kDa域に15本,また対照群の8例では22-65kDa域に9本のバンドがみられた.重症型では他の2群と比較してより高分子領域にバンドがみられ,侵襲性の強さとの関連が示唆された.一方,47kDa抗体は侵襲性カンジダ症の診断に有用であるとされているが,軽症型および対照群では47kDa抗原に対する抗体(47kDa抗体)が87.5%および75%と高頻度にみられたが重症型では36.4%で,重症型での47kDa抗体が陰性であった症例は予後不良の傾向にあった.したがって,その診断学的価値は高くはなく,47kDa抗体が陰性の場合の解釈に注意が必要であることが示された.また90kDa以上の抗原に対する抗体の存在が組織侵襲性と密接な関連を示したことから,組織侵襲性と予後の判定に高分子抗原に対する抗体の存在と47kDa抗体の両者を評価すべきであると考える. |
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ISSN: | 0916-4804 1882-0476 |
DOI: | 10.3314/jjmm.35.269 |