鈍的腹部外傷を契機として発症した小腸捻転の1例

腹部鈍的外傷後の遅発性腸閉塞はまれな疾患である. 症例は75歳男性. 8年前に胃癌にて胃全摘術を受けている. これまで腸閉塞の既往. 高さ2mのブロック塀から落下し, 左側腹部を強打. 自宅で加療していたが, 食後の腹痛を訴え来院. 左季肋下に腫瘤を触れ, 単純写真で小腸ガスおよび拡張した腸管を認めた. 腹部CTで腸間膜血腫と腸間膜の捻れを指摘されたが, 全身状態良好なため, 絶食で経過観察した. 絶食後は症状なく, 受傷後12日目から経口摂取開始. 経口摂取開始後腹痛と腸管拡張を再度認めたため, 小腸捻転の診断で腹腔鏡下手術を施行した. 小腸が1ヵ所腹壁に癒着し, そこを中心に小腸間膜が反時...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 5; pp. 923 - 926
Main Authors 明石, 建, 大澤, 岳史, 小林, 芳生, 菅原, 健, 花岡, 農夫, 籾山, 博英, 田中, 雄一, 安藤, 秀明, 岩崎, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2004
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.923

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Summary:腹部鈍的外傷後の遅発性腸閉塞はまれな疾患である. 症例は75歳男性. 8年前に胃癌にて胃全摘術を受けている. これまで腸閉塞の既往. 高さ2mのブロック塀から落下し, 左側腹部を強打. 自宅で加療していたが, 食後の腹痛を訴え来院. 左季肋下に腫瘤を触れ, 単純写真で小腸ガスおよび拡張した腸管を認めた. 腹部CTで腸間膜血腫と腸間膜の捻れを指摘されたが, 全身状態良好なため, 絶食で経過観察した. 絶食後は症状なく, 受傷後12日目から経口摂取開始. 経口摂取開始後腹痛と腸管拡張を再度認めたため, 小腸捻転の診断で腹腔鏡下手術を施行した. 小腸が1ヵ所腹壁に癒着し, そこを中心に小腸間膜が反時計回りに270度回転して巻き付いており, これを鏡視下整復・癒着剥離した. 術後経過順調で退院した. 本症例は外傷により癒着部位を中心にして腸捻転が発症したと考えられ, このような症例では腹部CTが診断に有用で, 治療には腹腔鏡下手術がよい適応と考えられた.
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.923