保存的に治癒し得た成人外傷性十二指腸壁内血腫の1例

症例は19歳男性, 2004年8月, バイク乗車中に転倒し上腹部を打撲, 同日当院を受診したが, 明らかな異常所見は認められず帰宅した。2日目より嘔吐, 上腹部痛が出現, 5日目に当院を再診した。CT, 超音波にて十二指腸水平部管腔内に径7×4cm大の腫瘤性病変と口側十二指腸の拡張を認め, 同日入院となった。入院時, 全身状態は良好であった。上部消化管造影検査では, 十二指腸下行部に圧迫像を, また十二指腸水平部の通過障害を認めた。上部消化管内視鏡検査では, 十二指腸水平部に粘膜外からの圧排, 隆起像を認めた。以上より十二指腸壁内血腫による十二指腸水平部の完全狭窄と診断し, 保存的治療を施行し...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 26; no. 4; pp. 577 - 580
Main Authors 森脇, 稔, 織畑, 道宏, 李, 慶文, 秦, 政輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2006
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.26.577

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Summary:症例は19歳男性, 2004年8月, バイク乗車中に転倒し上腹部を打撲, 同日当院を受診したが, 明らかな異常所見は認められず帰宅した。2日目より嘔吐, 上腹部痛が出現, 5日目に当院を再診した。CT, 超音波にて十二指腸水平部管腔内に径7×4cm大の腫瘤性病変と口側十二指腸の拡張を認め, 同日入院となった。入院時, 全身状態は良好であった。上部消化管造影検査では, 十二指腸下行部に圧迫像を, また十二指腸水平部の通過障害を認めた。上部消化管内視鏡検査では, 十二指腸水平部に粘膜外からの圧排, 隆起像を認めた。以上より十二指腸壁内血腫による十二指腸水平部の完全狭窄と診断し, 保存的治療を施行した。25日目, 上部消化管造影にて小腸への造影剤の通過は良好であった。30日目, 腹部CTにて血腫の消失を確認し, 受傷後34日目退院となった。今回われわれは保存的に治癒し得た外傷性十二指腸壁内血腫の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.26.577