左心バイパスポンプにおける上行大動脈送血と下行大動脈送血との比較検討
左前下行枝結紮法によりブタの左室自由壁に約40%の急性心筋梗塞を作成し左心不全状態とし, 左房脱血による左心バイパスポンプ(LVAD)を装着した。上行大動脈送血法と下行大動脈送血法の2種類の異なる送血法による補助法を各々単独に施行し, その補助効果と冠静脈洞血流量, 腎動脈血流量, 頸動脈血流量を測定し, 比較検討した。 その結果, 全身循環に対する補助効果及び左室仕事量の軽減効果は, 上行大動脈送血, 下行大動脈送血の両者とも著明であり有意差を認めなかったが, 腎動脈血流量は下行大動脈送血群に著明な増加を, 冠静脈洞血流量及びEndocardial viability ratioは上行大動脈...
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Published in | 人工臓器 Vol. 15; no. 2; pp. 500 - 503 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1986
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Summary: | 左前下行枝結紮法によりブタの左室自由壁に約40%の急性心筋梗塞を作成し左心不全状態とし, 左房脱血による左心バイパスポンプ(LVAD)を装着した。上行大動脈送血法と下行大動脈送血法の2種類の異なる送血法による補助法を各々単独に施行し, その補助効果と冠静脈洞血流量, 腎動脈血流量, 頸動脈血流量を測定し, 比較検討した。 その結果, 全身循環に対する補助効果及び左室仕事量の軽減効果は, 上行大動脈送血, 下行大動脈送血の両者とも著明であり有意差を認めなかったが, 腎動脈血流量は下行大動脈送血群に著明な増加を, 冠静脈洞血流量及びEndocardial viability ratioは上行大動脈送血群に著明な増加を認め, それぞれ有意差を認めた。虚血に陥った自己心の機能回復を考慮すると下行大動脈送血法に比し, 上行大動脈送血法がより効果的であると思われた。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.15.500 |