ダウン症候群に合併した小児急性リンパ性白血病6例の治療経過

1987~1997年に発症したダウン症候群 (DS) に合併した小児急性リンパ性白血病 (ALL) 6例についてその治療経験を報告する.初診時年齢は中央値3歳8カ月, 初発時白血球数の中央値は16,800/μl, 表面マーカーの解析ではpre-BALL 5例, biphenotypic ALL 1例であった.治療は3例が東海小児がんプロトコール, 1例はJACLS-ALL97プロトコールに従い, 他の2例はCHOPを主体とする多剤併用療法を施行した.全例に完全寛解が得られたが, その後2例は再発した.1例は第1再発期に感染症死した.他の1例はL-PAM+TBIの前処置にて自家骨髄移植を施行し,...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 15; no. 6; pp. 451 - 456
Main Authors 柳井, 雅明, 加藤, 剛二, 前田, 尚子, 堀部, 敬三, 松山, 孝治, 小島, 勢二, 工藤, 寿子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.12.2001
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.15.451

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Summary:1987~1997年に発症したダウン症候群 (DS) に合併した小児急性リンパ性白血病 (ALL) 6例についてその治療経験を報告する.初診時年齢は中央値3歳8カ月, 初発時白血球数の中央値は16,800/μl, 表面マーカーの解析ではpre-BALL 5例, biphenotypic ALL 1例であった.治療は3例が東海小児がんプロトコール, 1例はJACLS-ALL97プロトコールに従い, 他の2例はCHOPを主体とする多剤併用療法を施行した.全例に完全寛解が得られたが, その後2例は再発した.1例は第1再発期に感染症死した.他の1例はL-PAM+TBIの前処置にて自家骨髄移植を施行し, 現在第2寛解を継続中である.3例は第1寛解期で生存中で, 他の1例は維持療法中にメソトレキセート (MTX) による肝機能障害で死亡した.MTX大量療法 (3g/m2) 施行時の血中濃度を解析したところ, 非DS症例に比較してDS群においてはMTXの血中濃度は高い傾向にあった.MTXを1~2g/m2に減量したところ, 非DSとほぼ同等の血中濃度となった.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.15.451