全大腸型びまん浸潤癌の穿孔例

• Published in: 医療 Vol. 44; no. 9; pp. 931 - 935
• Main Authors: 谷山, 新次, 新井, 竜夫, 磯村, 勝美, 山崎, 武, 吉田, 康洋, 池尻, 公二
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 国立医療学会 1990
• Subjects: びまん浸潤型大腸癌; 高分化腺癌
• ISSN: 0021-1699; 1884-8729
• DOI: 10.11261/iryo1946.44.931

21才, 男性. 穿孔性腹膜炎のため緊急手術を行い, ハルトマン法により人工肛門を造設した. 術後の注腸造影・大腸内視鏡では, 横行結腸から回盲部まで連続性に炎症は及び, 潰瘍性大腸炎の所見にきわめて類似していた. しかし, 切除標本の詳細な検討では, 高分化腺癌が全領域に散在して認められ, 構築嫁では辺縁は深達度m, 穿孔部に進むにつれsm, pmとなり一部は筋層部を貫いていた. 初回手術から4カ月後に大腸全摘術を施行. 手術時所見では, 高分化腺癌の粘膜下浸潤が残存大腸全域に進展しており, 腸管の著明な短縮と壁の肥厚を認めた. 腹膜の一部および胆嚢漿膜への播種も認め, S2P1H0N1(+), Stage Vであつた. 高分化腺癌のびまん浸潤型が全大腸に及んだ, きわめてまれな症例である.