下部直腸癌における直腸傍リンパ節の大きさからみた転移診断能

下部直腸癌における直腸傍リンパ節転移の画像診断能の向上を目的として,非転移症例(N(-)群: 23例),転移症例(N(+)群: 21例)に分類し摘出リンパ節の組織学的検討から直腸傍リンパ節の大きさ別出現頻度および転移度を求め比較検討した.また, CT診断に応用し大きさ別診断能を検討した.リンパ節出現頻度は, N(-)群では5mm以上でリンパ節は少なくなり, 10mm以上は認めなかった. N(+)群の転移リンパ節の出現頻度は5mmと比較し6mmで有意に高かった(p<0.01). N(-)群/N(+)群間の比較では,出現頻度は5mm 30/30個, 6mm 6/36個でN(+)群は6mmで有...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 59 - 64
Main Authors 谷山, 新次, 金城, 和夫, 小野, 正人, 新井, 竜夫, 白井, 芳則, 杉藤, 正典, 竜, 崇正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.1998
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Summary:下部直腸癌における直腸傍リンパ節転移の画像診断能の向上を目的として,非転移症例(N(-)群: 23例),転移症例(N(+)群: 21例)に分類し摘出リンパ節の組織学的検討から直腸傍リンパ節の大きさ別出現頻度および転移度を求め比較検討した.また, CT診断に応用し大きさ別診断能を検討した.リンパ節出現頻度は, N(-)群では5mm以上でリンパ節は少なくなり, 10mm以上は認めなかった. N(+)群の転移リンパ節の出現頻度は5mmと比較し6mmで有意に高かった(p<0.01). N(-)群/N(+)群間の比較では,出現頻度は5mm 30/30個, 6mm 6/36個でN(+)群は6mmで有意に高かった(p<0.01).症例毎の最大径リンパ節は, N(-)群/N(+)群間で5mm 4/1例, 6mm 3/6例でありN(+)群で6mmの症例が有意に多かった(p<0.01). CT診断は, 5mm以上の診断基準でaccuracy 61.3%, sensitivity 59.1%, specificity 63.6%であり, 6mm以上では各々72.7%, 54.5%, 90.9%であった.以上より, N(+)群の直腸傍リンパ節は,大きさ6mm以上で出現頻度および転移度が高く,画像診断への応用は診断能向上に有用であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.59