ヒト好酸球および好中球の活性酸素種産生の比較検討-とくにアレルギーにおける好酸球活性酸素の意義について

正常者における好酸球の活性酸素産生能に関して細胞外,細胞内化学発光, O2-産生, H2O2産生を測定して好中球と比較した.またアレルギー患者と非アレルギー者および気管支喘息患者の発作時と非発作時の好酸球の化学発光を比較し,アレルギー疾患における好酸球の活性酸素産生について考察した. 正常者における活性酸素産生はPMA刺激では好酸球のほうが好中球より高値であった.アレルギー患者と非アレルギー者の好酸球の比較では,両者の化学発光に明らかな差はなかった.気管支喘息患者の発作時好酸球は非発作時よりも高い化学発光を示し,発作時好中球も非発作時より高い化学発光を示した.好酸球は刺激物質の種類によっては好...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 14; no. 2; pp. 166 - 173
Main Author 吉国, 裕文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 1991
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.14.166

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Summary:正常者における好酸球の活性酸素産生能に関して細胞外,細胞内化学発光, O2-産生, H2O2産生を測定して好中球と比較した.またアレルギー患者と非アレルギー者および気管支喘息患者の発作時と非発作時の好酸球の化学発光を比較し,アレルギー疾患における好酸球の活性酸素産生について考察した. 正常者における活性酸素産生はPMA刺激では好酸球のほうが好中球より高値であった.アレルギー患者と非アレルギー者の好酸球の比較では,両者の化学発光に明らかな差はなかった.気管支喘息患者の発作時好酸球は非発作時よりも高い化学発光を示し,発作時好中球も非発作時より高い化学発光を示した.好酸球は刺激物質の種類によっては好中球より多量の活性酸素を産生する能力を有しており,喘息発作時には好酸球,好中球の産生する活性酸素が組織傷害の一因となっている可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.14.166