肋骨に発生した脱分化型軟骨肉腫の1例

肋骨原発軟骨肉腫に対し広範囲切除後,胸壁再建術を行った1例を経験した.病理学的検査で,比較的稀な脱分化型軟骨肉腫と診断された.症例は44歳男性で,左前胸部の腫瘤と疼痛を主訴に近医を受診,精査後,軟骨肉腫を疑われ,当科に紹介入院となった.腫瘍は左第6肋骨原発で上下肋骨とともに,浸潤が疑われた左肺舌区,横隔膜,心嚢を合併切除した.絹糸による固定と,前胸部から側胸部に及ぶ16×15cmの骨性胸郭の欠損部を,整形が容易で,異物反応が少ないMarlex meshを用いて胸壁再建術を行った.腫瘍は12×8×11cm大で分化型軟骨肉腫組織と線維肉腫組織がみられ,それぞれが明瞭な境界を有して共存しており,脱分...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 99 - 102
Main Authors 進藤, 久和, 木田, 晴海, 綾部, 公懿, 新海, 清人, 久野, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.99

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Summary:肋骨原発軟骨肉腫に対し広範囲切除後,胸壁再建術を行った1例を経験した.病理学的検査で,比較的稀な脱分化型軟骨肉腫と診断された.症例は44歳男性で,左前胸部の腫瘤と疼痛を主訴に近医を受診,精査後,軟骨肉腫を疑われ,当科に紹介入院となった.腫瘍は左第6肋骨原発で上下肋骨とともに,浸潤が疑われた左肺舌区,横隔膜,心嚢を合併切除した.絹糸による固定と,前胸部から側胸部に及ぶ16×15cmの骨性胸郭の欠損部を,整形が容易で,異物反応が少ないMarlex meshを用いて胸壁再建術を行った.腫瘍は12×8×11cm大で分化型軟骨肉腫組織と線維肉腫組織がみられ,それぞれが明瞭な境界を有して共存しており,脱分化型軟骨肉腫(dedifferentiated chondrosarcoma)と診断された.術後の呼吸機能や上肢の運動機能は良好で,治癒切除と考えられたが,左胸腔内に再発をみとめ,術後約5カ月で死亡した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.99