自己免疫性肝疾患,とくに原発性胆汁性肝硬変症と慢性活動性肝炎重複症例に出現する新しいマーカー抗体
原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と慢性活動性肝炎(CAH)の定型的重複症例MMの血清中に未同定の自己抗体を発見し,本抗体をMM抗体と名付けた.本抗体はラット肝細胞質3分画を用いた二重免疫拡散(DID)法で検討するとミトコンドリア分画と反応せず,マイクロゾーム分画と強く反応した.抗ミトコンドリア抗体陰性でMM抗体陽性血清を用いた間接螢光抗体法で検索すると,ラット肝,腎の細胞質に特異螢光は確認されなかった. DID法ではMM抗体は抗Liver Kidney Microsome抗体と完全に交叉した.本抗体の陽性頻度は肝生検で確認されたPBC-CAH重複症例5/5, PBC 3/19, CAH 2/14...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 11; no. 3; pp. 216 - 223 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
1988
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ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.11.216 |
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Summary: | 原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と慢性活動性肝炎(CAH)の定型的重複症例MMの血清中に未同定の自己抗体を発見し,本抗体をMM抗体と名付けた.本抗体はラット肝細胞質3分画を用いた二重免疫拡散(DID)法で検討するとミトコンドリア分画と反応せず,マイクロゾーム分画と強く反応した.抗ミトコンドリア抗体陰性でMM抗体陽性血清を用いた間接螢光抗体法で検索すると,ラット肝,腎の細胞質に特異螢光は確認されなかった. DID法ではMM抗体は抗Liver Kidney Microsome抗体と完全に交叉した.本抗体の陽性頻度は肝生検で確認されたPBC-CAH重複症例5/5, PBC 3/19, CAH 2/14に認められたが,非自己免疫性肝疾患,正常人には検出されなかった.本抗体は自己免疫性肝疾患,とくにPBC-CAH重複症例の診断に役立つものと思われる. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.11.216 |