特発性副甲状腺機能低下症の1例

症例は39才,女.乳児期よりしばしば四肢テタニーと全身痙攣発作をくりかえしていた.また躁鬱症,異常行動などの精神症状も伴つていた.てんかんと診断されていたが,血清カルシウムの著減,無機燐の著増があり,爪の変形,多数の歯牙欠落・う蝕,腋毛の欠如などの異常が認められ,また頭蓋X線写真上,両側基底核部に対称に明瞭な石灰沈着を認めるなどの所見から,稀な疾患である特発性副甲状腺機能低下症と考えられるに至つた.本症は外胚葉系器官に諸種の異常をみるとされているが,それらを同時にそなえるものは報告が少ない.本症例は四肢テタニーに加え精神神経症状,形態の異常などを伴うきわめて珍しい1例である....

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 49 - 55
Main Authors 増田, 武弘, 日野, 昌徳, 稲葉, 午朗, 日野, 和徳, 原, 桃介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1972
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.61.49

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Summary:症例は39才,女.乳児期よりしばしば四肢テタニーと全身痙攣発作をくりかえしていた.また躁鬱症,異常行動などの精神症状も伴つていた.てんかんと診断されていたが,血清カルシウムの著減,無機燐の著増があり,爪の変形,多数の歯牙欠落・う蝕,腋毛の欠如などの異常が認められ,また頭蓋X線写真上,両側基底核部に対称に明瞭な石灰沈着を認めるなどの所見から,稀な疾患である特発性副甲状腺機能低下症と考えられるに至つた.本症は外胚葉系器官に諸種の異常をみるとされているが,それらを同時にそなえるものは報告が少ない.本症例は四肢テタニーに加え精神神経症状,形態の異常などを伴うきわめて珍しい1例である.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.61.49