92歳男性にみられた腹部大動脈瘤の1例

症例は92歳男性,胆石胆嚢炎の診断で保存的治療を受けた際,腹部CT, MRIにて腎動脈下に最大径8cmの腹部大脈瘤を指摘された.また心筋SPECT, 心エコーにて前壁の虚血性病変が疑われたため,術前に経皮経管冠動脈形成術(以下PTCA)およびステント挿入術を施行した.手術はまず大動脈瘤をY型人工血管にて置換し,後腹膜を閉鎖した後胆嚢を摘出した.術後経過は良好であった. 92歳といえども,術前の併存症や危険因子を精査し適切に対処すれば手術は安全に行うことが可能と思われる.超高齢化社会を迎えた今日,平均寿命や平均余命も加味し,患者の日常活動状況や家族の希望と同意に基づき手術適応が決定されるべきであ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 70 - 73
Main Authors 田中, 克典, 松本, 賢治, 大住, 幸司, 仲丸, 誠, 尾原, 秀明, 林, 忍, 北島, 政樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2000
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Summary:症例は92歳男性,胆石胆嚢炎の診断で保存的治療を受けた際,腹部CT, MRIにて腎動脈下に最大径8cmの腹部大脈瘤を指摘された.また心筋SPECT, 心エコーにて前壁の虚血性病変が疑われたため,術前に経皮経管冠動脈形成術(以下PTCA)およびステント挿入術を施行した.手術はまず大動脈瘤をY型人工血管にて置換し,後腹膜を閉鎖した後胆嚢を摘出した.術後経過は良好であった. 92歳といえども,術前の併存症や危険因子を精査し適切に対処すれば手術は安全に行うことが可能と思われる.超高齢化社会を迎えた今日,平均寿命や平均余命も加味し,患者の日常活動状況や家族の希望と同意に基づき手術適応が決定されるべきである.なお,本症例は本邦におけるこれまでの腹部大動脈瘤手術報告例の中で最高齢であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.70