肝硬変患者における血小板膜異常-血小板の等電点

肝硬変患者の血小板異常を検索する目的で血小板の等電点(pI)を測定した.電気泳動は50mlの等電点用カラムで行った,1w/v% Ampholineを用い,pH勾配は0~50w/v% sucrose gradientで支持した.pH勾配を完成させた後,血小板をカラムの中間位に添加し,1,000 Vで4時間,0~1℃で泳動した.泳動終了後,1mlずつ分画し,pHおよび細胞濃度を測定した. 健常成人では血小板のpIが4.22であった.この血小板をneuraminidaseおよびethel-ethanol混液で処理するとpIは4.54および4.75とそれぞれ大きくなった.また,formaldehyde...

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 1; pp. 62 - 68
Main Authors 渡辺, 勇四郎, 岡田, 仁史, 中込, 健郎, 岡部, 和彦, 須階, 二朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
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Summary:肝硬変患者の血小板異常を検索する目的で血小板の等電点(pI)を測定した.電気泳動は50mlの等電点用カラムで行った,1w/v% Ampholineを用い,pH勾配は0~50w/v% sucrose gradientで支持した.pH勾配を完成させた後,血小板をカラムの中間位に添加し,1,000 Vで4時間,0~1℃で泳動した.泳動終了後,1mlずつ分画し,pHおよび細胞濃度を測定した. 健常成人では血小板のpIが4.22であった.この血小板をneuraminidaseおよびethel-ethanol混液で処理するとpIは4.54および4.75とそれぞれ大きくなった.また,formaldehydeの処理ではpIが3.91と小さくなった.肝硬変患者の血小板ではpIが3.80から4.50と幅広い値を示した.この結果には肝硬変患者の血小板膜異常が関与していることが示された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.62