開心術における酢酸デスモプレシンの止血効果に関する検討

酢酸デスモプレシン(以下DDAVP)の開心術後出血量軽減効果の有無を検討した。対象は成人開心術20症例で, これをDDAVP投与群と非投与群, さらに人工肺の種類(気泡型と膜型)によって4群に分け, 術後24時間出血量及び血液凝固線溶系因子を第28病日まで経時的に測定し, 以下の結論を得た。 (1)術後24時間出血量はDDAVP投与群, 非投与群及び人工肺の種類による有意差を認めなかった。(2)von Willebrand因子抗原, 第VIII因子活性, ristocetin cofactorは各群で体外循環終了後上昇傾向を示したが, DDAVP投与による新たな上昇は各群とも認められなかった。...

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Published in人工臓器 Vol. 20; no. 2; pp. 516 - 520
Main Authors 相田, 弘秋, 栗林, 良正, 桜田, 徹, 関根, 智之, 後藤, 由和, 関, 啓二, 柴田, 芳樹, 目黒, 昌, 阿部, 忠昭, 高橋, 芳右, 柴田, 昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1991
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Summary:酢酸デスモプレシン(以下DDAVP)の開心術後出血量軽減効果の有無を検討した。対象は成人開心術20症例で, これをDDAVP投与群と非投与群, さらに人工肺の種類(気泡型と膜型)によって4群に分け, 術後24時間出血量及び血液凝固線溶系因子を第28病日まで経時的に測定し, 以下の結論を得た。 (1)術後24時間出血量はDDAVP投与群, 非投与群及び人工肺の種類による有意差を認めなかった。(2)von Willebrand因子抗原, 第VIII因子活性, ristocetin cofactorは各群で体外循環終了後上昇傾向を示したが, DDAVP投与による新たな上昇は各群とも認められなかった。これは, すでに体外循環中に上記因子の血中放出が起こっているため, もはやDDAVP投与によって新たな血中放出は起こり難いことを示している。以上今回の検討ではDDAVPの開心術後の明らかな出血量軽減効果は認められなかったが, いまだ明確な結論鳳なく今後さらに検討を重ねる必要があると考えられた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.20.516