回腸の全周性炎症により腸閉塞をきたしたMeckel憩室炎の1例

症例は70歳男性。平成12年5月下旬, 腹痛, 下痢を主訴に当院内科を受診す。急性胃腸炎の診断で外来通院するも軽快せず, 5月31日精査加療目的に当科紹介, 入院となった。WBC 12, 300/μlと上昇, 腹部単純X線写真にて鏡面像を認め, 腹部CTにても腸管拡張を認めたため, 腸閉塞の診断でイレウス管を挿入した。下痢は止まり, 腹痛は軽減しWBCも正常化したが, 排ガスを認めなくなった。イレウス管からの排液も減少傾向なく, イレウス管造影にて小腸の完全閉塞を認めたため, 入院9日目に開腹手術となった。腹水はほとんど認めず, 回盲部から約80cm口側の腸間膜対側に憩室様突出を認めた。Mec...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 22; no. 6; pp. 975 - 978
Main Authors 鈴木, 忠, 稲垣, 伸洋, 石川, 真, 石川, 雅健, 古賀, 正義, 曽我, 幸弘, 中川, 隆雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2002
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.22.975

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Summary:症例は70歳男性。平成12年5月下旬, 腹痛, 下痢を主訴に当院内科を受診す。急性胃腸炎の診断で外来通院するも軽快せず, 5月31日精査加療目的に当科紹介, 入院となった。WBC 12, 300/μlと上昇, 腹部単純X線写真にて鏡面像を認め, 腹部CTにても腸管拡張を認めたため, 腸閉塞の診断でイレウス管を挿入した。下痢は止まり, 腹痛は軽減しWBCも正常化したが, 排ガスを認めなくなった。イレウス管からの排液も減少傾向なく, イレウス管造影にて小腸の完全閉塞を認めたため, 入院9日目に開腹手術となった。腹水はほとんど認めず, 回盲部から約80cm口側の腸間膜対側に憩室様突出を認めた。Meckel憩室もしくは小腸腫瘍を考え, 憩室を含めた回腸部分切除を施行した。突出物は病理学的にMeckel憩室と診断された。回腸内腔は炎症による全周性肥厚で完全閉塞しており, 口側腸管の拡張を認めた。周囲との癒着を認めず, 腸管の絞扼もなく, 軸捻転も認めなかった。また悪性所見を含めた腫瘍性病変も認めず, 本症例の腸閉塞の発生機序はRutherfordらの発生形態による分類に該当せず非常にまれと考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.22.975