呼吸不全治療のための酸素運搬体を利用した小流量液―液型人工肺の開発

呼吸不全の治療を目的として血液透析を応用した体外循環式ガス交換システムを作成し, その有用性を検討した。システムは潅流液, 酸素化装置とダィアラィザーからなっており, 潅流液としてFC-43(ミドリ十字製)を用い, ダイアライザーはフィルトライザーB2-2.0(MSA2.0m2), 回路は血液透析用回路を用いた。体外循環血液量は心拍出量の約10%とした。牛血を用いてガス交換能を測定したのち, 本システムを筋弛緩剤にて自発呼吸を停止させた成犬に対して用いて呼吸補助を行った。体外循環血液量は100ml/min, 換気はベンチレータにて100ml×5/minにて行った。体外循環中はPaCO2 51....

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 1; pp. 638 - 641
Main Authors 水野, 浩, 五十, 部潤, 松延, 政一, 中村, 達雄, 千原, 幸司, 河原崎, 茂孝, 渡部, 智, 清水, 慶彦, 細川, 進一, 山内, 紘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1987
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Summary:呼吸不全の治療を目的として血液透析を応用した体外循環式ガス交換システムを作成し, その有用性を検討した。システムは潅流液, 酸素化装置とダィアラィザーからなっており, 潅流液としてFC-43(ミドリ十字製)を用い, ダイアライザーはフィルトライザーB2-2.0(MSA2.0m2), 回路は血液透析用回路を用いた。体外循環血液量は心拍出量の約10%とした。牛血を用いてガス交換能を測定したのち, 本システムを筋弛緩剤にて自発呼吸を停止させた成犬に対して用いて呼吸補助を行った。体外循環血液量は100ml/min, 換気はベンチレータにて100ml×5/minにて行った。体外循環中はPaCO2 51.3±6.1mmHg(mean±SD), PaO2 97±10.2mmHgであるが, 停止すると5分後にPaCO2 106.4mmHg, PaO260.8mmHg, となり, 徐脈・脈圧拡大および静脈圧上昇をきたした, 再開するとただちに症状は消失した。本法は呼吸補助を小流量で有効におこなえると考える。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.638