ブシラミンによる急性間質性肺炎を発症した慢性関節リウマチの1例

現在までにブシラミン(Bc)による間質性肺炎(IP)の報告は1例を数えるのみである.私たちもBcによるIPを発症した慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性. 1983年多関節炎が出現しRAと診断された.金剤による全身の皮疹,ペニシラミンによる発熱の既往あり. 1986年サラゾピリンを投与しRAは寛解状態となったが, 1990年1月RAの再燃を認め,同年4月よりBc 200→300mg/日を開始した. RAは改善傾向を示したが, 3ヵ月後,労作時呼吸困難が出現し,胸部XPで両下肺野に網状陰影の出現,低酸素血症(PO2 60Torr)を認め, BcによるIPを疑い...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 14; no. 2; pp. 174 - 180
Main Authors 清水, 宏明, 市川, 幸延, 高屋, 正敏, 守内, 順子, 内山, 光昭, 林, 芳弘, 冬野, 玄太郎, 太田, 保世, 山林, 一, 有森, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 1991
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Summary:現在までにブシラミン(Bc)による間質性肺炎(IP)の報告は1例を数えるのみである.私たちもBcによるIPを発症した慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性. 1983年多関節炎が出現しRAと診断された.金剤による全身の皮疹,ペニシラミンによる発熱の既往あり. 1986年サラゾピリンを投与しRAは寛解状態となったが, 1990年1月RAの再燃を認め,同年4月よりBc 200→300mg/日を開始した. RAは改善傾向を示したが, 3ヵ月後,労作時呼吸困難が出現し,胸部XPで両下肺野に網状陰影の出現,低酸素血症(PO2 60Torr)を認め, BcによるIPを疑いBcを中止した.肺機能検査で拘束性障害,拡散障害を認め,ガリウムスキャンも陽性であった. Bcによるリンパ球刺激試験は陰性で,気管支肺胞洗浄液中のCD4/CD8比も正常であった.肺生検像では肺胞壁に単核球浸潤を伴う炎症像を認めた.プレドニゾロン50mg/日の投与により自覚症状および諸検査成績は速やかに改善した.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.14.174