抽出コラーゲンのみから縫合可能な手術用材料を作成する成型加工法について

今回, 我々は成型加工法の工夫により抽出コラーゲンのみを用いた高強度の膜の作成を試みた. まず1%コラーゲン水溶液を凍結・凍結乾燥した基本の膜を作成した. これを圧縮後2%コラーゲン水溶液を塗布・風乾し熱架橋したA膜と, 基本の膜を熱架橋後0.5%コラーゲン水溶液を含浸させ再度凍結・凍結乾燥し熱架橋・圧縮したB1膜, およびコラーゲン水溶液の含浸工程を2回繰り返したB2膜を作成した. 走査電顕による観察ではA膜は表面に厚いアモルファスコラーゲン層が形成されておりB1膜, B2膜はコラーゲン線維量の増加が認められた. 強度測定の結果, B1膜の湿潤時の縫合糸によるカッティングに対する強度は1.5...

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Published in人工臓器 Vol. 28; no. 1; pp. 211 - 216
Main Authors 松本, 和也, 上田, 寛樹, 関根, 隆, 山本, 恭通, 滝本, 行延, 清谷, 哲也, 中村, 達雄, 清水, 慶彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1999
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Summary:今回, 我々は成型加工法の工夫により抽出コラーゲンのみを用いた高強度の膜の作成を試みた. まず1%コラーゲン水溶液を凍結・凍結乾燥した基本の膜を作成した. これを圧縮後2%コラーゲン水溶液を塗布・風乾し熱架橋したA膜と, 基本の膜を熱架橋後0.5%コラーゲン水溶液を含浸させ再度凍結・凍結乾燥し熱架橋・圧縮したB1膜, およびコラーゲン水溶液の含浸工程を2回繰り返したB2膜を作成した. 走査電顕による観察ではA膜は表面に厚いアモルファスコラーゲン層が形成されておりB1膜, B2膜はコラーゲン線維量の増加が認められた. 強度測定の結果, B1膜の湿潤時の縫合糸によるカッティングに対する強度は1.5Nで不充分であったがA膜, B2膜はそれぞれ5.0N, 4.3Nで湿潤時でも縫合可能な強度を有していた. A膜, B2膜で行った成型加工法は低コストで種々の形状に適用可能であり, 広範囲の手術材料に利用できると思われた.
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.28.211