第11回臨床不整脈研究会 抗Na-K-ATPase抗体を有する拡張型心筋症患者の心室性不整脈の特徴

非持続性心室頻拍(NSVT)を合併する左室機能不全例に対し,ICDの予防的使用が有効であるか注目されている.我々はすでに,約3割の拡張型心筋症(DCM)患者に細胞膜Na-K-ATPaseに対する自己抗体が存在すること,および本自己抗体を有する症例ではNSVTを高率に合併することを報告した.本検討ではさらに,抗Na-K-ATPase自己抗体と合併するNSVTの特徴とに関連がないか検討を加えた.【方法と結果】3連発以上の心室性期外収縮をNSVTとし,抗Na-K-ATPase自己抗体の有無をELISAにより検査した.NSVTを合併するDCM患者48例を自己抗体の有無により2群に分け,そのNSVTの特...

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Published in心臓 Vol. 31; no. Supplement5; pp. 100 - 104
Main Authors 馬場, 彰泰, 藤井, 効, 吉川, 勉, 三田村, 秀雄, 小川, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1999
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Summary:非持続性心室頻拍(NSVT)を合併する左室機能不全例に対し,ICDの予防的使用が有効であるか注目されている.我々はすでに,約3割の拡張型心筋症(DCM)患者に細胞膜Na-K-ATPaseに対する自己抗体が存在すること,および本自己抗体を有する症例ではNSVTを高率に合併することを報告した.本検討ではさらに,抗Na-K-ATPase自己抗体と合併するNSVTの特徴とに関連がないか検討を加えた.【方法と結果】3連発以上の心室性期外収縮をNSVTとし,抗Na-K-ATPase自己抗体の有無をELISAにより検査した.NSVTを合併するDCM患者48例を自己抗体の有無により2群に分け,そのNSVTの特徴(総数,最大連発数,最速度)を比較した.服用薬剤,自覚症状(NYHA分類),血漿ノルエピネフリン値,心室性期外収縮総数に2群間で差はなかったが,抗体陽性群(n=21)で左室駆出率は高値を示した(32±10%v.s.25±8%,p<0.03).NSVT最速度には差を認めなかったが,NSVT総数および最大連発数は抗体陽性群で陰性群に比べ有意に高値であった(45±13v.s.52±39*,7±5v.s.11±8**,*p<0.05,**p<0.03).自己抗体の有無につき他の臨床指標により多変量解析したところ,左室駆出率とNSVT最大連発数が独立の予測因子であった.【結論】抗Na-K-ATPase自己抗体を有するDCM患者は,突然死のハイリスク群である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.Supplement5_100