MRIでの皮質下FLAIR低信号から早期に疑い得た抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質抗体関連皮質性脳炎の1例

症例は32歳男性.左眼窩~側頭部の拍動性の頭痛,次いで38°C台の発熱と嘔気を来した.MRIでの左大脳皮質の腫脹と軟膜の造影効果,左中大脳動脈拡張,および皮質下のFLAIR低信号を伴う特徴的なMRI所見から,抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(myelin-oligodendrocyte glycoprotein,以下MOGと略記)抗体関連皮質性脳炎を疑いステロイドパルス療法を2コース行い,頭痛は軽快し左大脳皮質の浮腫も著明に改善した.後日,血清抗MOG抗体陽性が判明した.片側性の皮質FLAIR高信号や血流増多は他疾患でも認めうるが,これらに加え抗MOG抗体関連皮質性脳炎では皮質下のFLA...

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Published in臨床神経学 Vol. 64; no. 9; pp. 654 - 657
Main Authors 渋谷, 涼子, 古田, 理佐子, 田中, 遼, 温井, 孝昌, 中根, 俊成, 中辻, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2024
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Summary:症例は32歳男性.左眼窩~側頭部の拍動性の頭痛,次いで38°C台の発熱と嘔気を来した.MRIでの左大脳皮質の腫脹と軟膜の造影効果,左中大脳動脈拡張,および皮質下のFLAIR低信号を伴う特徴的なMRI所見から,抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(myelin-oligodendrocyte glycoprotein,以下MOGと略記)抗体関連皮質性脳炎を疑いステロイドパルス療法を2コース行い,頭痛は軽快し左大脳皮質の浮腫も著明に改善した.後日,血清抗MOG抗体陽性が判明した.片側性の皮質FLAIR高信号や血流増多は他疾患でも認めうるが,これらに加え抗MOG抗体関連皮質性脳炎では皮質下のFLAIR低信号が他疾患に比して高率に認められる.本症例では,同所見が早期診断に寄与したため報告する.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001981