第17回 心臓性急死研究会 洞機能不全を伴うBrugada症候群の1例

症例は49歳,女性.失神発作のため当科受診.心電図上,基本調律は心房粗動で,左軸偏位・不完全右脚ブロックを呈した.心房粗動停止後,洞停止が持続し,洞結節回復時間の延長を認めたため,洞機能不全と診断,また,H-V時間も75msと延長しており,DDDペースメーカを植え込んだ.8カ月後,失神発作再発のため来院,V1~V3誘導でST上昇を示し,心室細動を認めたことから,Brugada症候群と診断した.除細動器植え込み後,20ヵ月間,再発作はない.Brugada症候群の原因として,右室流出路のイオンチャネル異常が指摘されているが,本例では心房粗動,洞機能不全,His束以下の伝導障害を合併していることから...

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Published in心臓 Vol. 37; no. Supplement3; pp. 130 - 135
Main Authors 安田, 正之, 中里, 祐二, 土屋, 洋人, 佐々木, 玲聡, 山下, 晴世, 河野, 安伸, 飯田, 洋司, 中里, 馨, 戸叶, 隆司, 代田, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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Summary:症例は49歳,女性.失神発作のため当科受診.心電図上,基本調律は心房粗動で,左軸偏位・不完全右脚ブロックを呈した.心房粗動停止後,洞停止が持続し,洞結節回復時間の延長を認めたため,洞機能不全と診断,また,H-V時間も75msと延長しており,DDDペースメーカを植え込んだ.8カ月後,失神発作再発のため来院,V1~V3誘導でST上昇を示し,心室細動を認めたことから,Brugada症候群と診断した.除細動器植え込み後,20ヵ月間,再発作はない.Brugada症候群の原因として,右室流出路のイオンチャネル異常が指摘されているが,本例では心房粗動,洞機能不全,His束以下の伝導障害を合併していることから,右室のみならず,洞結節から心房にいたる病変の存在が示唆された.Brugada症候群で失神発作を伴う例では,洞機能不全による徐脈も念頭に置き, 慎重に対処・治療する必要があると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_130