画像解析による尿試験紙判定システム構築に向けた尿アルブミンにおける基礎的検討

慢性腎臓病は腎機能の低下が持続し,血液透析治療が必要な疾患である.尿試験紙検査は尿異常による早期発見に有効であり,早期に治療介入することで進行も抑制される.しかし,新規透析導入患者数は未だ増加傾向にあり,要因としてかかりつけ医における検査環境の未整備が挙げられる.また,尿試験紙の判定手法には目視判定と機器判定があるが,判定に測定者の主観を伴うことや高額な装置が必要なことが課題とされる.そこで,本研究はかかりつけ医における尿試験紙検査の環境整備を目的に,安価かつ簡便で高精度な尿試験紙判定システムの構築を目指す. 今回はスマートフォンで尿試験紙と色調表を同時に撮影し,ノートPC上での画像解析により...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Proc; pp. 690 - 691
Main Authors 木田, 直弥, 横山, 徹, 清水, 久恵, 山下, 政司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:慢性腎臓病は腎機能の低下が持続し,血液透析治療が必要な疾患である.尿試験紙検査は尿異常による早期発見に有効であり,早期に治療介入することで進行も抑制される.しかし,新規透析導入患者数は未だ増加傾向にあり,要因としてかかりつけ医における検査環境の未整備が挙げられる.また,尿試験紙の判定手法には目視判定と機器判定があるが,判定に測定者の主観を伴うことや高額な装置が必要なことが課題とされる.そこで,本研究はかかりつけ医における尿試験紙検査の環境整備を目的に,安価かつ簡便で高精度な尿試験紙判定システムの構築を目指す. 今回はスマートフォンで尿試験紙と色調表を同時に撮影し,ノートPC上での画像解析により取得した各色情報から尿試験紙判定を試みた.測定項目は慢性腎臓病の早期発見に重要な尿アルブミンとし,精度管理用試料を蒸留水により4濃度の半定量値に調製した.システムはプログラミング言語にPython,拡張ライブラリにはOpenCVを用いて構築し,撮影した尿試験紙画像より自動で色情報を取得し判定値を算出した.尿化学分析装置による機器判定と比較し,一致率と±1ランク一致率から判定精度を検証した.実験の結果,本システムは既存装置と同等の判定精度を示し,有用な判定法と考えられた.今後はシングルボードコンピュータを用いたスタンドアロン型装置を構築し,アルブミン/クレアチニン比について臨床的評価を行う.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.690