Dipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬の関与が疑われた首下がり症候群の1例

薬剤性の首下がりの原因にはDipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬が含まれるが実際の報告は少なく,またMRI所見の経時的変化を示した報告はない.症例は63歳男性.2019年2月からシタグリプチン50 mg/日内服が開始された.2020年1月中旬から首下がりが出現し4月上旬に精査入院された.頸部伸展筋の筋力低下(MMT 3)を認め,MRIで後頸部筋群にSTIR高信号を認めた.シタグリプチンの関与を疑い入院後中止とし,入院10日目には姿勢は正中位に改善した.中止1か月後のMRIでは後頸部筋群のSTIR高信号は淡くなっていた.DPP-4阻害薬開始後に首下がりを生じた場合は,同薬の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 5; pp. 329 - 331
Main Authors 黒田, 健司, 木村, 隆, 鈴木, 康博, 大田, 貴弘, 吉田, 亘佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001572

Cover

More Information
Summary:薬剤性の首下がりの原因にはDipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬が含まれるが実際の報告は少なく,またMRI所見の経時的変化を示した報告はない.症例は63歳男性.2019年2月からシタグリプチン50 mg/日内服が開始された.2020年1月中旬から首下がりが出現し4月上旬に精査入院された.頸部伸展筋の筋力低下(MMT 3)を認め,MRIで後頸部筋群にSTIR高信号を認めた.シタグリプチンの関与を疑い入院後中止とし,入院10日目には姿勢は正中位に改善した.中止1か月後のMRIでは後頸部筋群のSTIR高信号は淡くなっていた.DPP-4阻害薬開始後に首下がりを生じた場合は,同薬の関与を疑い内服中止を検討すべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001572