第17回臨床不整脈研究会 心室細動予防にベプリジルが奏効したと考えられた潜在性Brugada症候群の1例

症例は37歳,男性.従来健康で心電図異常を指摘されたことはない.父親が32歳で突然死している.就寝中に心肺停止状態となり家人が救急隊を要請した.モニター上,心室細動(Vf)が認められ,当院搬送中に救急隊により除細動が施行され洞調律に復帰した.来院後の心臓超音波は異常を認めず,心電図上,右脚ブロックパターンやJ波を伴うST上昇は認めなかったが,後日実施したピルジカイニド負荷試験(1mg/kg iv)ではV1~V3誘導で2~3mmのsaddle-back型ST上昇を認め,イソプロテレノール負荷で速やかに回復した.心臓電気生理学的検査(EPS)では右室流出路早期刺激(400/210)でVfが誘発され...

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Published in心臓 Vol. 37; no. Supplement4; pp. 175 - 179
Main Authors 今木, 隆太, 和泉, 徹, 前川, 恵美, 庭野, 慎一, 平澤, 正次, 弓削, 大, 森口, 昌彦, 佐々木, 毅, 佐藤, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.Supplement4_175

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Summary:症例は37歳,男性.従来健康で心電図異常を指摘されたことはない.父親が32歳で突然死している.就寝中に心肺停止状態となり家人が救急隊を要請した.モニター上,心室細動(Vf)が認められ,当院搬送中に救急隊により除細動が施行され洞調律に復帰した.来院後の心臓超音波は異常を認めず,心電図上,右脚ブロックパターンやJ波を伴うST上昇は認めなかったが,後日実施したピルジカイニド負荷試験(1mg/kg iv)ではV1~V3誘導で2~3mmのsaddle-back型ST上昇を認め,イソプロテレノール負荷で速やかに回復した.心臓電気生理学的検査(EPS)では右室流出路早期刺激(400/210)でVfが誘発された.ピルジカイニドでST変化が明らかとなる潜在性Brugada症候群と診断し,植込み型除細動器(ICD)を適用した.ICD植え込み後は無投薬で経過観察していたが,一晩に3度のVf発作,および1回の非持続性心室頻拍(NSVT)発作を認めたため,ベプリジル(200mg/日)を開始した. その後,Vf発作は認められず,記録上NSVTも消失した.ベプリジルはIlo遮断作用によってBrugada症候群のVf発作を予防する可能性があるが,本症例においてもその効果が認められた可能性がある.潜在性Brugada症候群におけるベプリジル使用の報告は少なく,貴重であると考え報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.Supplement4_175