第15回臨床不整脈研究会 金属アレルギーが疑われた症例に対するICD植込み経験

81歳男性.陳旧性前壁梗塞があり薬物療法中であった.心房細動に対しシベンゾリン使用後に心室頻拍となった既往がある.2002年6月全身倦怠感を主訴に近医受診,心電図上心室頻拍でありリドカインの静注にて停止した.造影検査では左主幹部75%狭窄があり,冠動脈バイパス術(CABG)前に植込み型除細動器(ICD)植込みの方針となり当科入院となった.左前胸部にICD植込みを行いその後前医に戻りCABGを行った.CABG前に2度,CABG後に1度ICD部の腫脹を認め診断的治療目的で穿刺廃液を行った.穿刺液の培養検査はいずれも陰性であった.ICD部の腫脹は一時的に軽快するも貯留を繰り返し,根本治療を希望して当...

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Published in心臓 Vol. 35; no. Supplement4; pp. 150 - 154
Main Authors 網代, 洋一, 谷崎, 剛平, 西本, 正興, 藤森, 完一, 萩原, 誠久, 庄田, 守男, 松田, 直樹, 原田, 明子, 芹沢, 直紀, 河原井, 浩孝, 小田川, 幸成, 笠貫, 宏, 井上, 完起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2003
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.35.Supplement4_150

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Summary:81歳男性.陳旧性前壁梗塞があり薬物療法中であった.心房細動に対しシベンゾリン使用後に心室頻拍となった既往がある.2002年6月全身倦怠感を主訴に近医受診,心電図上心室頻拍でありリドカインの静注にて停止した.造影検査では左主幹部75%狭窄があり,冠動脈バイパス術(CABG)前に植込み型除細動器(ICD)植込みの方針となり当科入院となった.左前胸部にICD植込みを行いその後前医に戻りCABGを行った.CABG前に2度,CABG後に1度ICD部の腫脹を認め診断的治療目的で穿刺廃液を行った.穿刺液の培養検査はいずれも陰性であった.ICD部の腫脹は一時的に軽快するも貯留を繰り返し,根本治療を希望して当科再入院となった.ICD部は液状の貯留物を触知するも明らかな発赤,熱感はなく,白血球数,CRPの上昇もなく平熱であった.切開すると黄色でやや混濁した浸出液を認め,組織の軽度融解所見も認めた.経過中に発熱を認めたこともあり,感染の可能性も否定できないためICDを全摘出したが,浸出液や組織片の細菌培養検査は陰性であった.経過から金属アレルギーによる浸出液の貯留と考えポリテトラフロロエチレン(polytetrafluoroethylene;GORE-TEX(R))を使用し右前胸部に再植込みを行った.危惧された除細動閾値上昇やショックリード抵抗高値といった問題は認めず,除細動閾値も10ジュール以下であった.金属アレルギーを有する症例に対するICD植込みの報告はなく,貴重な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.Supplement4_150