ボクセルリードフィールド行列の共分散構造が脳磁図信号源推定に与える影響

生体磁気順問題における導電体モデルとしてよく用いられる一様導体球モデルでは,ボクセルリードフィールド行列としてランク2の行列を用いる.一方,より高精度な順方向解を提供する実形状モデルでは通常ランク3のボクセルリードフィールド行列を用いる.しかしながら,一様球状導体モデルによるリードフィールドと実形状モデルでのリードフィールドの差が小さいボクセルでは,リードフィールド行列の列間での独立性が低下し,結果として行列の条件数(最小特異値/最小特異値)がかなり大きくなってしまう.本研究は,このボクセルリードフィールド行列の共分散構造が信号源推定に与える影響を,自発脳磁界の信号源推定に用いられる代表的な手...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Proc; pp. 772 - 774
Main Authors 小池, 暢人, 森瀬, 博史, 工藤, 究, 三坂, 好央, 関原, 謙介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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Summary:生体磁気順問題における導電体モデルとしてよく用いられる一様導体球モデルでは,ボクセルリードフィールド行列としてランク2の行列を用いる.一方,より高精度な順方向解を提供する実形状モデルでは通常ランク3のボクセルリードフィールド行列を用いる.しかしながら,一様球状導体モデルによるリードフィールドと実形状モデルでのリードフィールドの差が小さいボクセルでは,リードフィールド行列の列間での独立性が低下し,結果として行列の条件数(最小特異値/最小特異値)がかなり大きくなってしまう.本研究は,このボクセルリードフィールド行列の共分散構造が信号源推定に与える影響を,自発脳磁界の信号源推定に用いられる代表的な手法であるビームフォーマーについて解析を行ったものである.その結果として以下が明らかとなった.スカラー型のビームフォーマーでは,リードフィールド行列の条件数に依存して,信号源向きの推定が影響を受け,大きな誤差を生じる.また,ベクトル型のビームフォーマーでは重み行列の求め方に応じて,条件数の大きなリードフィールド行列を持つボクセルにおいては信号強度推定にも誤差を含む可能性がある.本発表では,ボクセルリードフィールド行列の条件数,信号対雑音比,測定時間幅の時間点数などの関係に関して理論的な考察を行い,考察結果を検証するコンピュータシミュレーションを提示する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.772